1 過去の五輪大会とICT 1964年の東京オリンピックは、世界初の「テレビオリンピック」と言われた。1960年から本放送の始まったカラー映像でのテレビ中継が同大会から開始され、我が国でカラーテレビが急速に普及する契機となったとともに、オリンピック史上初の衛星放送による国際中継に成功し、世界に日本の放送技術の高さを知らしめる結果となった。このようにオリンピック・パラリンピックとICTは歴史上、深い関わりを持っている。 下の図は1932年のロサンゼルス大会から1988年のソウル大会までのICT活用の変遷をまとめたものである。大会の模様を世界中の人々に伝えるため当時最新の放送技術が導入されてきたことや、競技結果の正確な集計や大会の円滑な運用のためのICTの活用が積極的に進められてきたことがわかる(図表4-4-1-1)。 以下では、ICTが五輪大会運営に不可欠な役割を果たした例として、1998年の長野大会と2012年のロンドン大会におけるICT活用を紹介する。