8 インフラ輸出 政府はインフラ・システムの海外展開を成長戦略の柱に位置付け、総理自らが先頭に立ち、官民一体のトップセールスをはじめ、各種政策の推進に精力的に取り組んでいる。有望分野として、高速鉄道、高速道路、橋梁、港湾、空港、工業団地、原子力発電、電力、衛星及び衛星データを活用した防災及び災害管理、環境・リサイクル(廃棄物処理)、医療、上下水道、電子政府、防災対策(洪水、地震・津波、地滑り等)、早期警報システム、気候変動への対応(衛星)、金融システム等の幅広い分野が挙げられる。我が国では、インフラに係る多くの分野やシステムにおいて、国際標準化等活動においてリードしており、それらを土台に、企業間の戦略的提携を進めながら日本の技術を結集し競争力の向上に努めるとともに、官民の連携によるアプローチを積極的に推進していくことが求められている(図表5-2-8-1)。 Mckinsey & Coによれば、世界のインフラ投資市場は、2013年から2030年までの間で累積で約57兆ドルの規模に達すると予測している(図表5-2-8-2)。特に大きいのが道路系、電力系、水道系などとなっている。2011年までの累積の実績でみると、中国が最も多額のインフラ投資を行ってきおり(図表5-2-8-3)、今後も同国をはじめとする新興国におけるインフラ投資が加速すると予想される。 図表5-2-8-2 2030年までの世界のインフラ投資額の予測(出典)McKinsey Global Institute“ Infrastructure productivity ?How to save $1 trillion a year” ICT企業においては、こうしたインフラのグローバル展開と絡めた形で展開を図る動きが特に注目される。今後は、特にシステム構築だけでなく、運営支援、アフターサービスまで、パッケージ化し、ICTを利用し続けるインフラ整備を提案していくことが望ましいといえる。次に近年の我が国ICT企業によるインフラ輸出関連事業の事例を挙げる(図表5-2-8-4)。