1 各国ICT産業の競争力に関する評価  (1)各国のレイヤー別の競争力の評価 各国ICT関連企業が、自国ICT産業の国際的競争力についてレイヤー別に評価した結果をみると 2 、全体的な傾向として、日・中・韓の東アジア3か国の企業は、自国のICT産業について、通信レイヤー、端末レイヤー、デバイスレイヤーなど、下位レイヤーにおける競争力の高さを評価している。一方で、米・独・印の3か国の企業は、ICTサービス、プラットフォーム、コンテンツ・アプリなど、上位レイヤーにおける競争力の高さを評価している。 各国についてみると、我が国では、通信レイヤーの競争力が最も高く、次いでコンテンツ・アプリレイヤー、デバイスレイヤーとなっており、ICT産業の競争力は通信レイヤーが牽引しているという認識が強い傾向が見られる。他方で、端末レイヤーやプラットフォームレイヤーは、相対的に競争力は低く評価されており、近年のグローバル端末市場における市場シェアの低下等に対する認識が表れる結果となった。 米国では、端末・デバイスレイヤーと、通信及び上位レイヤーの評価の差が非常に大きい。とりわけ、コンテンツ・アプリレイヤーの競争力は高く評価している。ドイツも、プラットフォームを除けば米国と同様の傾向がみられる。他方、中国は米独とは逆に、通信レイヤーと端末レイヤーの競争力が高く評価されており、国内の巨大通信市場の存在と近年の国内外の端末市場におけるプレゼンスの向上に対する認識が表れていると考えられる(図表5-3-1-1)。 次に、基準化前の集計結果を示す。我が国企業においては、いずれのレイヤーにおいても、競争力の高さを評価する回答率が他国と比べて極めて低く、結果として競争力の低さに係る回答率が半数を超えている。我が国企業が他国企業と比べて競争優位性が低下しているという強い認識を持っている現状がうかがえる。一方で、インドはどの国よりも自国ICT産業の競争力を高く評価しており強い自信を有している側面がうかがえる(図表5-3-1-2)。 2 レイヤー間の強度を相対的に比較するため、後述の図表5-3-1-2に示した回答結果について、選択肢の順に3・1・−1・−3と点数化した上で、各国内で偏差値に換算した。