2 国・地域間の協調及び競合関係に関する認識 (1)自国内企業及び海外企業との連携・協調 過去(2000年)・現状・今後(先5年〜10年程度)の3つの時点を想定した場合に、グローバル展開を進める上で、企業との連携や協調(業務提携、共同出資、その他取引等)について自国内企業と海外企業のどちらを重視してきたかをみると、インターネットの普及が本格化した「過去(2000年頃)」においては、グローバル展開に当たっては、いずれの国においても75%前後(「どちらかといえば」を含む)の回答者が自国内企業との連携や協調を重視していたと振り返っている。国別でみると、我が国は当該比率が86%と6か国の中で最も高く、次いで中国・韓国となっている。このように、当時東アジア3か国におけるグローバル展開に関しては、他欧米諸国などと比べるとより国内連携を重視していたといえる。 次に、約15年経過した「現状」についてみると、「自国内重視」と「海外重視」でほぼ同じ比率となっている。過去(2000年頃)と比較して、最も変化が見られたのは中国と韓国の企業である。海外企業との連携・協調を重視している比率が約30%増加し、米国・ドイツ・インドの当該比率を上回っている。このように、中国及び韓国においては、海外企業との連携や協調を積極的に行うことで、急激なグローバル化を図ってきた経緯がうかがえる。一方で、我が国企業においては、海外企業との連携・協調への移行が進展したものの、その比率は6か国の中で最も低い状況である。 「今後(先5年〜10年程度)」についてみると、各国企業とも更に海外企業との連携・協調が進展すると予想しており、過去(2000年頃)と比べると「海外重視」と「自国内重視」の比率が逆転する勢いである。とりわけ、中国企業においては、「海外重視」の比率が現状から更に30%弱拡大しており、その比率は米国・ドイツを上回る。同国企業においては、引き続きグローバルレベルでの協調・連携が進むとみられ、他方、我が国においては、「海外重視」の比率が現状と比べて増加すると想定されるものの、6か国における相対的な位置づけは変わらず低い。このように、グローバル展開に係る企業間連携や協調においては、我が国企業と他国の企業とでは考え方が異なる様子がうかがえる(図表5-3-2-1)。