(2)海外展開における手法・アプローチ 過去(2000年)・現状・今後(先5年〜10年程度)の3つの時点を想定した場合の、各国ICT企業における海外展開に係る具体的な手法・アプローチ(輸出、直接投資、業務提携等)についてみると、直接投資(同業種・異業種)が最も多くを占めている。また、全体として、輸出が下がり、直接投資(異業種)あるいは業務提携による展開手法が今後より重要性が増すと推察される。直接投資(同業種・異業種)の推移をみると、過去(2000年)及び現在においては米国が最も高く、今後(先5年〜10年程度)においてはインドが最も高い(図表5-3-3-2)。他方、我が国においては、当該手法は徐々に拡大傾向がみられるものの、6か国の中で最も低い水準となっている(図表5-3-3-3)。 海外展開の方向性について、ここでは「事業展開の範囲」と「地域展開の範囲」の2つに分けて、過去(2000年〜2005年)・現在(2010年〜2015年)・今後(2015年〜2020年)の3つの時点における各国ICT企業の回答結果を整理した。いずれの軸も「拡大」型と「集中」型で表される。 「事業展開の範囲」(横軸)については、前者はいわゆる「多角化」、後者は「選択と集中」の戦略を意味する。各国企業とも過去から現在にかけて総じて「多角化」から「選択と集中」へとシフトしてきており、今後においても、より後者の戦略を意識していることが分かる。日本の企業は「選択と集中」型の比率が最も高く、前述した各国ICT企業の今後の海外展開の結果でも見られたように、他国企業と比べると拡大戦略よりも維持・集中型戦略を強く意識していることが分かる。次に、「地域展開の範囲」(縦軸)についてみると、韓国・中国・インドの3か国は、過去から現在へと拡大戦略へシフトさせてきたが、今後は集中型を意識している。他方、日本・米国・ドイツに関しては、米国の過去を除き、集中型を重視する傾向がみられる(図表5-3-3-4)。