(2)電気通信の利用状況 ア 通信回数・通信時間 (ア)総通信回数・総通信時間 ●総通信回数及び通信時間は減少傾向 平成25年度における我が国の総通信回数は990.4億回(前年度比4.7%減)、総通信時間は3,594百万時間(前年度比6.2%減)であり、いずれも減少が続いている。 発信端末別の通信回数では、IP電話発が141.9億回(前年度比9.1%増)と引き続き増加している一方、固定系 16 発は292.1億回(前年度比8.2%減)と減少している(図表7-2-2-21)。また、一貫して増加傾向にあった移動系 17 発の通信回数は平成24年度に初めて減少し、平成25年度も556.4億回(前年度比5.8%減)となった。 発信端末別の通信時間では、IP電話発が523百万時間(前年度比4.0%増)と増加し続けているのに対し、固定系発は881億時間(前年度比8.9%減)と減少を続けている。また、平成22年度まで一貫して増加傾向にあった移動系発の通信時間は3年連続減少し2,144百万時間(前年度比7.3%減)となった(図表7-2-2-22)。 平成25年度における、1契約当たりの1日の通信時間は、固定通信では、加入電話が3分24秒(前年度比1秒減)、ISDNは12分32秒(前年度比2秒減)、IP電話が2分39秒(前年度比7秒減)、移動通信では、携帯電話・PHSが2分26秒(前年度比21秒減)であった(図表7-2-2-23)。 (イ)距離区分別の通信状況 ●固定通信(加入電話・ISDN)については61.7%、携帯電話・PHSについて80.5%が同一都道府県内での通信 固定通信(加入電話及びISDN)から発信される通信について、同一単位料金区域(MA:Message Area)内に終始する通信回数の割合は45.2%、隣接MAとの通信回数割合は13.0%であり、両者を合わせると、58.2%となる。県内・県外別の通信回数比率では、同一都道府県内に終始する県内通信が61.7%となっている(図表7-2-2-24)。 また、携帯電話・PHSの同一都道府県内に終始する通信回数の比率は80.5%となっている(図表7-2-2-25)。 (ウ)時間帯別の通信状況 ●通信回数、通信時間については、固定通信は9時〜正午及び13時〜18時の時間帯が、移動通信は夕方18時がピークとなっている A 固定通信の時間帯別通信回数・通信時間 固定通信の時間帯別通信回数は、企業等の業務時間である9時から正午までと、13時から18時までの時間帯が多くなっている。また、時間帯別通信時間も、通信回数と同様の傾向を示している(図表7-2-2-26、図表7-2-2-27)。 B 移動通信の時間帯別通信回数・通信時間 移動通信(携帯電話及びPHS)の時間帯別通信回数は、朝8時頃から増加した後、夕方18時前後に通信回数のピークを迎え、その後減少している。また、通話時間についても朝8時頃から増加し始めるが、夕方、17時から18時ごろにピークを迎え、その後減少するものの、深夜24時を過ぎても通信時間が多い傾向がみられる(図表7-2-2-26、図表7-2-2-27)。また、固定通信と移動通信の平均通話時間を比較すると、固定通信のピークが21時から22時であるのに対し、移動通信のピークは2時頃と、異なる傾向がみられる(図表7-2-2-28)。 イ トラヒックの状況 (ア)インターネットのトラヒック ●我が国のブロードバンドサービス契約者の総ダウンロードトラヒックは、平成26年11月時点で平均約3.6Tbpsに達し、前年同月比37.5%増加 A ブロードバンド契約者のトラヒックの推移 平成26年11月時点の国内ISP6社 18 のブロードバンドサービス契約者のトラヒックについては、ダウンロードトラヒック(A1 OUT)が月間平均で1557.0Gbps(前年度比35.8%増)となり、増加傾向である。ダウンロードトラヒック(A1 OUT)とアップロードトラヒック(A1 IN:426.1Gbps)の比は3.7倍(前年度は3.1倍)と差が広がっており、ダウンロード型の利用が中心である(図表7-2-2-29)。 B ISP間で交換されるトラヒックの推移 国内主要IX 19 (インターネットエクスチェンジ: Internet Exchange)以外で国外ISP等と交換されるトラヒック(B3 IN:924.6Gbps)と、国内主要IX以外で国内ISP等で交換されるトラヒック(B2 IN:765.1Gbps)を比較すると、平成26年11月時点で1.2倍となっている。海外から流入するトラヒックの割合が高まっている(図表7-2-2-29)。 C 我が国のインターネット上を流通するトラヒックの推定 国内ISP6社のブロードバンドサービス契約者(DSL, FTTH)のトラヒック〔A1〕と、我が国のブロードバンド契約数における国内ISP6社の契約数のシェアから、我が国のブロードバンドサービス契約者の総ダウンロードトラヒックを試算した。その結果、平成26年11月時点では平均で約3.6Tbpsのトラヒックがインターネット上を流通していることが分かった。同トラヒックは前年同月比37.5%増となるなど、近年のインターネット上のトラヒックは引き続き増加している(図表7-2-2-29、図表7-2-2-30)。 (イ)移動通信のトラヒック ●年間約1.4倍のペースで移動通信トラヒックが増加 近年、データ通信を中心としたトラヒックの増加が移動通信システムに係る周波数のひっ迫の大きな要因となっていることに鑑み、移動通信事業社6社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・アクセス、UQコミュニケーションズ、Wireless City Planning)の協力を得て、移動通信のトラヒック量(非音声)のデータを集計・分析した結果、平成27年3月現在の、移動通信のトラヒックは、平均969.0Gbpsとなり、年間約1.4倍のペースで増加している(図表7-2-2-31)。 (ウ)時間帯別トラヒックの推移 A 一週間の推移 ISP6社のブロードバンド契約者の時間帯別トラヒックの一週間の推移をみると、全ての曜日において年々増加している。移動通信のトラヒック推移についても同様に全ての曜日において増加傾向となっている(図表7-2-2-32及び図表7-2-2-33)。 B 曜日別の変化 ISP6社のブロードバンド契約者の時間帯別トラヒックの曜日別変化をみると、22時から23時がピークの時間帯となっており、休日は朝から昼にかけて急激に増加し、その後夕方にかけて微増している(図表7-2-2-34)。 一方、移動通信トラヒックの曜日別変化をみると、平日は朝から夕方にかけて徐々にトラヒックが増加し、昼休み帯(12時から13時まで)に一時的なピークがある。休日は朝から昼にかけて急激に増加している。平日及び休日ともに、夜間帯にトラヒックが急増し、23時頃がピークの時間帯となっている(図表7-2-2-35)。 ウ 電気通信サービスに関する相談・苦情等 ●電気通信サービスに関する苦情・相談等の件数は、減少傾向 平成25年度の総務省に寄せられた電気通信サービスの苦情・相談等の件数は、7,012件であり、ここ数年減少傾向であったものの、増加した(前年比3.0%増)(図表7-2-2-36)。苦情・相談等をサービス別にみると、「携帯電話・PHS」(42.9%)及び「インターネット通信サービス」(26.3%)に関するものが多い(図表7-2-2-37)。 エ IPv6対応に係る現状 (ア)IPv4アドレス在庫の枯渇状況 ●APNIC/JPNICのIPv4アドレスの通常在庫が枯渇 近年、IPv4 20 アドレスの需要は特にアジア太平洋地域において拡大している(図表7-2-2-38)。平成23年2月3日にIANA 21 の世界共通在庫が枯渇し、わずか2か月後の4月15日には、アジア太平洋地域にIPアドレスを分配しているAPNICと我が国のIPアドレスを管理するJPNICにおいてIPv4アドレスの在庫が枯渇した(予想より大幅に前倒し)。また、平成24年にはアドレスブロックがゼロになった。 (イ)IPv6への対応状況 ●アクセス回線事業者のIPv6対応が本格化 APNIC/JPNICにおけるIPv4アドレス在庫が枯渇した平成23年4月からアクセス回線事業者のIPv6対応が本格化しており、多くのISPにおいてIPv6に対応したインターネット接続サービスが開始されつつある。平成22年度末時点では、既存FTTHユーザーの2,020万人加入のうち、IPv6に対応予定のFTTH回線は約720万回線であることから、35.6%のFTTH加入者がアクセス回線を変更することなく、IPv4に加えてIPv6インターネット接続サービスを利用できる環境にある。モバイル系ではNTTドコモが平成23年6月、LTE対応の通信端末においてIPv6インターネット接続サービスを提供開始している。 ISPについては、アクセス回線事業者のIPv6対応に合わせて、大手ISPを中心にIPv6インターネット接続サービスの提供が進展している。平成24年3月に総務省が実施したアンケート調査に対し、全体では63.4%のISPがIPv6インターネットサービスを「提供中」、「実験/試行サービス中」、「提供予定(対応中)」と回答している。ISPの規模別にみると、加入者5万契約以上のISPでは92.3% 22 に達している(図表7-2-2-39)。一方で1万契約未満のISPの40.0%が「検討の上、提供しないと決定」か「未検討」と回答しており、中小ISPの対応は遅れている。 16 「固定系」は加入電話、公衆電話、ISDNの総計。 17 「移動系」は携帯電話及びPHSの総計。 18 ISP6社(協力ISP6社(インターネットイニシアティブ(IIJ)、NTTコミュニケーションズ、ケイ・オプティコム、KDDI、ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコム)の集計。 19 インターネットマルチフィード、エクイニクス・ジャパン、日本インターネットエクスチェンジ、 BBIX及びWIDE Projectがそれぞれ運営するIXの集計。 20 IPv4(Internet Protocol Version4)とは現在のインターネットの主要な基本技術として利用されている通信方式 21 IANA(Internet Assigned Numbers Authority)とはインターネット上で利用されるアドレス資源をグローバルに管理する管理元 22 これらの事業者の契約者数がISPブロードバンド契約者全体に占めるシェアは75%に達する。