(1)電気通信サービスの販売・勧誘活動の適正化等 ア 消費者保護ルールの見直し・充実 上述のICTサービス安心・安全研究会報告書では、電気通信サービスについて、適合性の原則を踏まえた説明や書面交付義務の制度化、重要事項に係る不実告知等の禁止、初期契約解除制度の導入(店舗販売における端末等の物品は対象外。対象となるサービスは引き続き検討)、再勧誘の禁止、代理店監督の制度化等の提言がなされた。この提言等を受け、総務省は、「電気通信事業法等の一部を改正する法律案」を第189回国会に提出した。同法案は2015年5月に成立、公布されており、総務省は施行に向けた準備を進めている。 また、同研究会では、一般社団法人電気通信事業者協会から、@携帯電話サービスに係る試用サービスの実施を検討、A期間拘束・自動更新付契約について、更新月の延長と、更新月が近づいた時点で利用者にデフォルトでのプッシュ型の通知を行う方向で検討、B電気通信サービスに係る苦情・相談を業界として窓口で受け付けて分析する体制を整備し、苦情・相談件数の減少に向けた取組を進めていく方向で検討との表明があったほか、代理店各社から、業界団体を発足させ、苦情・相談件数の縮減につなげる活動を実施するとの表明がなされた。総務省は、このような取組について、同研究会等の場で進捗の確認や課題に対する意見交換などを行い、フォローアップを実施しており、平成26年12月には、代理店の業界団体として一般社団法人全国携帯電話販売代理店協会が設立され、平成27年4月には、一般社団法人電気通信事業者協会が、苦情・相談を受け付ける「電気通信事業者協会相談窓口」を設置した(電話番号:03-4555-4124(ヨイツウシン))。また、主要携帯電話事業者においては、試用サービスを導入済又は導入予定であるほか、期間拘束・自動更新付契約に係る更新月の延長と、更新月が近づいた時点でデフォルトでプッシュ型の通知を実施することとなっている。 さらに、期間拘束・自動更新付契約については、平成27年4月、同研究会の下に「利用者視点からのサービス検証タスクフォース」を設置し、その在り方についての検討を行っている。 イ 光回線サービス等の卸売を利用したサービスに係る取組 東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社による光アクセス回線等の卸売の開始(2015年2月)に先立ち、総務省は、「NTT東西のFTTHアクセスサービス等の卸電気通信役務に係る電気通信事業法の適用に関するガイドライン(案)」を作成し(パブリックコメント手続を経て、2015年2月に確定)(本節第1項1ウ参照)、電気通信関連の業界4団体で構成される電気通信サービス向上推進協議会は、「電気通信事業者の営業活動に関する自主基準」の改定を行った(改定後の名称:「電気通信事業者の営業活動に関する自主基準及びガイドライン」)。同月に、総務省は、関連の業界団体に対し、光アクセス回線サービス等の卸売を受けたサービスの提供に際して、これらのガイドラインや自主基準等を遵守することや、契約時に利用者の意思確認を徹底すること等を要請している。