(2)FCCによるオープン・インターネット規則の採択 FCCでは、2014年1月に、連邦控訴裁判所のオープン・インターネット規則の無効化判決の後、新規則の策定を進め、2015年2月には、新規則を採択(規則公表は3月)した。オープン・インターネット規則では、ネット中立性と呼ばれるISPによるトラヒック管理の取り扱いに関する内容が含まれていることから、検討段階から多くの議論を呼び、FCCに寄せられたコメントは、最終的に400万件に達した。なお、オバマ大統領は、厳格な内容のオープン・インターネットを保護するため、2014年11月、ブロードバンドを「1934年通信法」第U編に分類し、公衆電気通信として取り扱うことを求めた。 FCCでは、2015年2月に、新たなネット中立性規則案の内容を明らかにした。同規則案では、ISPによるインターネット接続を「1934年通信法」第U編に分類し、電気通信サービスとして扱うことが盛り込まれた。これにより、ISPが合法的なウェブサイトやサービスへのアクセスをブロックする行為、通信速度を引き下げる行為、そして、特定のウェブサイトに有償で優遇措置を与えることが禁止され、ISPが自社系列のトラヒックを優遇することも禁止されたが、商業的恩恵が考慮されない「合理的なネットワーク管理」については寛大な対応を取るものとされた。また、インターネットは日々変化しており、将来の不正行為に対応する広範な基準を必要としていることから、ISPが消費者、コンテンツ・プロバイダに害を与えることを防ぐ「開放的なインターネットのための全般的な行為基準」も策定するほか、ネットワーク相互接続についての苦情を審査する権限も確立するとしている。なお、同規則案では、固定回線ブロードバンドだけでなく、モバイル・ブロードバンドも適用対象となる。 FCCは、インターネットの分類変更にあたって前述通信法第U編で適用されている多くの規則は施行を差し控えるが、「不公平で不当な行為」の禁止規則のほか、消費者からの苦情処理やプライバシー保護、障碍者保護、電柱や導管への公平なアクセスに関する規則は施行するとしている。なお、新規則は、ブロードバンド・プロバイダのユニバーサル・サービス基金への納付は義務付けない。