3 電波利用環境の整備 (1)生体電磁環境対策の推進 総務省では、安全かつ安心して電波を利用できる環境を整備するための取組を推進している。電波の人体への影響に関しては、電波防護指針 4 をもとに、電波法令により電波の強さ等に関する安全基準を定めており、その内容は国際的なガイドラインとの同等性が担保されているとともに、電波の安全性に関する長年の調査結果 5 が反映されている。これまでの調査・研究では、この安全基準を下回るレベルの電波と健康への影響との因果関係は確認されていない。電波の利用がより身近になる中、今後も電波の安全性に関する科学的な検証を積み重ねるとともに、電波の安全性を分かりやすく情報提供する 6 ことが重要である。 また、電波の安全性に関する施策の推進に関して、国内外の研究成果の評価・分析、我が国が取り組むべき研究課題の抽出や電波防護指針の評価・検証等を行うことを目的として、生体電磁環境に関する検討会(座長:大久保千代次 一般財団法人電気安全環境研究所電磁界情報センター所長) 7 を開催している。平成27年7月に、電波の人体及び植込み型医療機器への影響に関して、現時点での知見を取りまとめた第一次報告書を公表した 8 。 医療機器への影響については、総務省は「電波の医療機器等への影響に関する調査」 9 を毎年度行い、その調査結果を受けて、必要な注意事項等を「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針」に反映させている。平成27年8月、ペースメーカや除細動器以外の植込み型医療機器等を対象として調査を行った結果を反映した指針の改訂が行われた 10 。指針の改訂や社会状況の変化に対応し、電車内の優先席付近における携帯電話使用マナーを「混雑時には携帯電話の電源をOFF」とする動きが広まりつつある。 さらに、電波環境協議会 11 において、「医療機関における電波利用推進部会」が平成27年9月に設置され、医療機関における適正な電波利用の実現に向けた検討(図表6-3-3-1)が行われている。総務省は、厚生労働省とともにこの活動に対し、積極的に貢献している。平成28年4月4日、同部会でのこれまでの検討結果に基づき、「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き」及び報告書が公表された 12 。今後は、手引き等の医療機関等へ普及に向けた取組を実施する。 図表6-3-3-1 医療機関における電波利用の推進に関する検討 4 電波防護指針:http://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/medical/protect/ 5 総務省における電波の安全性に関する研究:http://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/seitai/index.htm 6 具体的には、説明会の開催やナビダイヤルの設置、パンフレット作成等を実施: http://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/index.htm 7 生体電磁環境に関する検討会:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/chousa/seitai_denji_kankyou/ 8 生体電磁環境に関する検討会第一次報告書:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban16_02000095.html 9 電波の植込み型医療機器等への影響の調査研究:http://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/ele/seitai/chis/index.htm 10 各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器等へ及ぼす影響を防止するための指針」の改訂: http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban16_02000106.html 11 電波環境協議会:http://www.emcc-info.net/ 12 電波環境協議会からのお知らせ(平成28年4月4日):http://www.emcc-info.net/info/info280404.html 総務省報道資料(平成28年4月4日):http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban16_02000123.html