分析フレームの全体像は、下記の図のとおりである(図表3-5-2-1)。
供給面と需要面との両方をとらえること、また、両者の相互依存関係や波及効果を含め業種別に分析できるよう、推計には産業連関表を用いている。
推計の時間軸は、2016年、2020年、2025年、2030年とし、市場規模(生産誘発額)、実質GDP、就業者数(労働誘発数)といった各種指標の予測値を、内閣府の中長期経済予測6に基づくベースシナリオとIoT・AIの活用が進展する場合の経済成長シナリオとで比較している(図表3-5-2-2)。
経済成長シナリオでは、IoT・AIの導入(IoT化)及び企業改革が、例えばプロセスイノベーションやプロダクトイノベーションなどの類型ごとに時期の違いを伴って実現すると想定している7。
前項でも言及したとおり、経済成長のためにはIoT・AIの導入(IoT化)及び企業改革の両方が必要であり、このシミュレーションにあたっても、両者を考慮した形としている(図表3-5-2-3)。
シミュレーションにあたっては、企業関係者へのアンケートにてIoT化(IoTソリューションの導入率及び製品・サービスのIoT化)と企業改革とのそれぞれについて現状及び見通しを尋ね、これを基にベースシナリオ、経済成長シナリオそれぞれの企業類型の割合を算出している(図表3-5-2-4)。
ベースシナリオでは、企業改革実施の有無は2016年から2030年までの間で変化せず、IoT化の割合の推移はアンケートにて尋ねた各年の見通しの値を基に算出している(図表3-5-2-5)。
経済成長シナリオでは、根本的ではないIoT化の阻害要因があると回答している企業は、阻害要因の解消により2030年までにIoT化が進むこと、IoT企業では企業改革が進展すると想定している(図表3-5-2-6)。
6 SNAの2016年の実質GDPと内閣府の中期経済予測の成長率を元に算出した実質GDP予測値を用いた。内閣府の中長期経済予測は2025年までの値であるため、2026〜2030年は2025年と同じ成長率が続くと想定した。
7 将来推計の技術的な詳細は付注4参照