(3)いざ、IoT時代へ ア データは新たな付加価値をつなぐ IoT時代において、あらゆる業界の垣根を越えた取組として共通するのが「データの利活用」である。もはや収集データなしに、新たな利用シーンの開拓を語っている企業を見つけることは難しいぐらいだ。MWC2017のトークセッションの中でも、ある企業の代表者は「データは新たな通貨である」とごく自然に語っていた。一企業内のデータ利活用を越えて、さらに一定の条件下でデータを流通させていくことは付加価値をつなぐことであると理解できるだろう。 スマートフォンは、それ自体がセンサーのかたまりである。データ生成の源となり、人々の生活を便利なものにしている。そして、今後はスマートフォンだけでなく、自動車をはじめ様々な場所から収集できるデータを利活用することで、企業活動の効率化や新たな付加価値の創造、社会的課題の解決に向かおうとする姿が、通信業界の世界的なトレンドとなってきている。 図表1-3-3-10 MWC2017会場入口と開催地バルセロナ市によるプレゼンテーション (出典)総務省「IoT時代のデジタル変革と情報通信業界動向に関する実態調査」(平成29年) イ IoTの真価 IoT時代には、あらゆるモノがインターネットにつながることが一般化する。そこで、モバイル通信の手段は、従来の携帯電話のようなわかりやすいものから、あらゆる機器類に内蔵されるIoTソリューションへと変わっていく。 MWC2017の展示場での主役の一つとして「IoTソリューション」が挙げられる。もう一つが、IoTソリューションのかたまりともいえる「自動車」である。両者ともに産業向け、法人向けの利用シーンを描いているものばかりだ。自動車は数多くのセンサーを搭載しているが、こうしたセンサーから集めたデータをクラウドに集約し、安心・安全・利便の向上に活用しようとする試みが世界各地で行われている。 その他には、工場内の生産性向上を図るソリューションや遠隔運転、遠隔手術などのリモート環境からの操作、スマートシティと呼ばれる自治体向けのソリューションなども大きく取り上げられており、今後の普及が期待される。 図表1-3-3-11 GSMAの機器内蔵型IoTソリューションとエリクソン社の遠隔運転デモ展示 (出典)総務省「IoT時代のデジタル変革と情報通信業界動向に関する実態調査」(平成29年)