(1)データ流通量の爆発的拡大 ネットワークの高度化、センサー等の発達によるIoTの実現により、物理空間とデジタル空間の融合が加速している。それに伴い様々な事象がデータ化され、データ流通・利活用の進展が今後期待されている。実際に、ネットワークを流通するデータトラヒックの量は飛躍的に増大している。スマートフォン・タブレットの普及や利活用拡大、LTE等の4Gの普及、HD(高精細)映像などの高品質なコンテンツの流通、医療や政府情報等を含む多様な情報のデジタル化など、あらゆる要因がデータトラヒック量の増大に寄与している。 我が国のデータトラヒックについてみてみると、ブロードバンドサービス契約者(FTTH/DSL/CATV/FWA)の総ダウンロードトラヒックは2014年以降急速に伸びており、直近では前年同月比52%増となっている。総アップロードトラヒックも直近1年で急激に伸びたことが特徴として挙げられる(図表2-1-2-1)。次に、我が国の移動体通信のトラヒックについても1年で約1.3倍というペースで堅調に拡大しており、総ダウンロードトラヒックについては前年同月比35%増となっている。これは、ブロードバンドサービスの総アップロードトラヒックの規模と直近1年の成長率ともに同水準となっている(図表2-1-2-1、図表2-1-2-2)。 図表2-1-2-1 我が国のトラヒックの推移(左:ブロードバンド、右:移動体通信) (出典)総務省「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算」より作成 図表2-1-2-2 世界のトラヒックの推移及び予測(トラヒック種別) 1 (出典)Cisco VNI Mobile 世界のトラヒックの状況についてみると、米Ciscoによれば2015年から2020年にかけて年平均成長率22%(5年間で約2.7倍)でさらに増加していくことが予想されている。2020年には1か月あたり194エクサバイト(EB)、年間にすると2.3ゼタバイト(ZB)に達する。特に、モバイルデータは年平均成長率53%(5年間で約7.8倍)で増加し、全体の伸びを牽引していくことが予想される。 世界のトラヒックをコンシューマ及び企業等のビジネスの2つのセグメントの別でみると、コンシューマが全体の約8割とトラヒック全体の大半を占めていることがわかる。Ciscoによれば、2015年のコンシューマのトラヒックの70%はビデオトラヒックであり、2020年までに82%まで拡大する(図表2-1-2-3)。 図表2-1-2-3 世界のトラヒックの推移及び予測(セグメント別) 2 (出典)Cisco VNI Mobile 1 「モバイル」:携帯端末、ノートPCカード、モバイル ブロードバンド ゲートウェイで生成されたモバイルデータおよびインターネットトラヒック 「固定インターネット」:インターネットバックボーンを通過するすべてのIPトラヒック「マネージドIP」:企業のIP-WANトラヒック、テレビおよびVoDのIPトランスポート 2 「コンシューマ」:家庭、大学、インターネット カフェで生成された固定IPトラヒック 「ビジネス」:企業および政府機関で生成された固定IP-WANまたはインターネットのトラヒック