(4)労働生産性向上にも資する「攻め」のテレワーク テレワークを導入している企業と、導入していない企業との間に業績(売上高、経常利益)に違いがあるかをみてみた。テレワークを導入している企業の方が、直近3年間に業績が増加傾向にある企業の比率が高く、また減少傾向にある企業の比率が低くなっていた。テレワークの導入状況による業績の違いは、売上高よりも経常利益においてより顕著である(図表4-2-1-11)。テレワークの導入によって労働生産性が向上し、効率的な企業活動が可能となるとともに、それが売上高の拡大などの良好な企業業績につながるなどの良いサイクルに入っていくことができるようになっているものと考えられる。 図表4-2-1-11 テレワーク導入状況と直近3年間の売上高、経常利益が増加傾向の企業の比率(従業員数300人以下) (出典)総務省「ICT利活用と社会的課題解決に関する調査研究」(平成29年) 実際、テレワーク導入済みの企業のうち、労働生産性向上を目的としてテレワークを導入した企業はおよそ6割である。また、その内およそ8割以上の企業がテレワーク導入により目的とする効果を得たと回答している(図表4-2-1-12)。また、企業だけではなく従業員も、テレワークを導入することが労働生産性向上につながっていることを実感している(図表4-2-1-13)。柔軟な働き方を実現する方策として注目されることが多いテレワークであるが、このように労働生産性向上に資する「攻め」の手段としても有効なものであり、取組を進めることによって、企業業績の向上につなげていくことができるものと考えられる。 図表4-2-1-12 企業のテレワーク導入目的と労働生産性向上の成果 (出典)総務省「通信利用動向調査」(2016年)より作成 図表4-2-1-13 従業員がテレワーク導入によって感じたメリット(複数回答)(n=949) (出典)労働政策研究・研修機構「情報通信機器を利用した多様な働き方の実態に関する調査結果」