第6節 ICT研究開発の推進 1 研究開発戦略の推進 超高齢化社会を迎え、厳しい国際競争の中で、我が国経済の持続的成長を図るためには、ICTを最大限活用し、サイバー空間と現実世界の融合を図り、新たな価値創出に取り組んでいくことが不可欠である。昨年1月に閣議決定された第5期科学技術基本計画においても、このような取組を「Society 5.0 1 」として政府全体で強力に推進し、ICTはその実現に不可欠な基盤的技術として戦略的強化を図ることとしている。 このような中、情報通信審議会情報通信技術分科会技術戦略委員会では、「新たな情報通信技術戦略の在り方」(平成26年12月18日付け諮問第22号)について、平成28年度からの5年間を目途とし、ICT分野において国や国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT:National Institute of Information and Communications Technology)等が取り組むべき重点研究開発分野・課題及び研究開発、成果展開等の推進方策の検討を行い、平成27年7月28日に中間答申 2 がなされた。総務省では、同中間答申の提言を踏まえ、NICTの次期中長期目標を策定するとともに、産学官によるIoT推進体制として、平成27年10月に「IoT推進コンソーシアム」が設立され、同コンソーシアムのもとに設置された「スマートIoT推進フォーラム(技術開発WG)」において、IoT関連技術の開発・実証・標準化の推進に向けた取組を進めている。 続いて、平成28年7月には、第2次中間答申 3 がなされ、IoT/ビッグデータ/AI時代において、我が国経済が国際競争力を維持・強化し、持続的な成長を図るための「スマートIoT推進戦略」と「次世代人工知能推進戦略」や、新しい時代に若い世代が世界と伍していくための「IoT人材育成策」と、今後の国際標準化活動における重点領域及び重点領域ごとの具体的目標を定める新たな「標準化戦略」が取りまとめられた。さらに、IoT/BD/AI時代を迎えた熾烈な国際競争の中で、我が国社会の生産性向上と豊かで安心な生活を実現するため、技術戦略委員会における検討を継続しており、次世代AI技術の社会実装を図るとともに、その駆動力となる超大量データを活用可能なICTデータビリティを推進するための戦略を本年夏頃にとりまとめることとしている。 総務省では、これらの答申を踏まえ、ICTを専門とする唯一の公的研究機関であるNICT等と連携して、我が国の将来の発展へのシーズを生み出すICT分野の研究開発と、研究成果の社会実装によるイノベーション創出の実現に向けた取組を推進している。 1 超スマート社会(必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細やかに対応でき、あらゆる人が活き活きと快適に暮らすことのできる社会)の実現に向けた取組 2 中間答申:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin03_02000136.html 3 第2次中間答申:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin03_03000223.html