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第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長
3 人口減少時代のICTによる持続的成長

3 人口減少時代のICTによる持続的成長

先に挙げたとおり、少子高齢化やそれに伴う人口減少は、我が国経済・社会に大きな影響を与える可能性がある。まず、経済では、需要面と供給面の双方にマイナスの影響を与え、中長期的な経済成長を阻害する可能性がある。

需要面では、少子高齢化やそれによる人口減少は、多くの分野で国内需要の縮小をもたらすこととなる。次に、供給面では、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少は、①労働投入、②資本投入、③TFP(全要素生産性)という経済成長の3要素のうち、①の労働投入の減少につながる。また、今後人口減少により国内市場が縮小するとの懸念を企業が持つと、経済成長への期待が減少し、②の資本投入にも負の影響を与える可能性がある。

また、社会面でも、少子高齢化に伴い社会構造が変化することから多様な課題が生じるが、独居世帯増や地域人口の減少によりコミュニティ維持が困難になるなど、基本となる人と人との結びつきが希薄化することで、社会資本(ソーシャルキャピタル)の形成が困難となる可能性がある。

これらの課題に関しては、近年更なる発展を遂げているICTにより人・モノ・組織・地域などを「つなげる」ことで、デジタルトランスフォーメーションが進展し、課題を解決するための新たな価値創造を図り、持続的成長を目指すことが考えられる。

需要を拡大させる方向として、「市場」の観点からは、ICTによる新たな商品やサービスの開発を通じて持続的な需要創出を図るとともに、企業の積極的なグローバル展開を通じて海外需要の取り込みを図ることとなる。供給を拡大させる方向として、企業など「組織」の観点からは、労働投入の減少を見据え、ICT投資・利活用により企業の生産性向上を図っていくこととなる。加えて、その前提となるICT利活用を最適化するための組織変革も必要である。社会面では、「人」の観点として、多様な生き方を実現する「複属」4を図るため、ICTを通じた人と人との結びつきの促進や、女性や高齢者などのICTを活用した就業環境整備による労働参加の拡大、それを可能とするためのICT教育・人材育成による労働の質向上がある。

図表0-3-1-1 ICTによるつながりの創造・強化に着目した持続的成長


4 庄司昌彦(2015)「『分人・複属』と電子行政」行政&情報システム(2015)

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