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第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長
第6節 グローバル需要の取り込み

第2章まとめ

本章の冒頭でも述べたとおり、人口減少社会において、国内市場が縮小していく中で、持続的成長を図るためには、経済的側面から見ると「需要」と「供給」の双方を伸ばす必要がある。本章では主に需要を拡大させる方向として、「市場」に関する観点から考察を行った。

一点目として、デジタルトランスフォーメーションによるビジネスエコシステムの変化によってもたらされる新たなエコノミーの形成を取り上げた。産業・業種を超えてICTが導入されることで、新しい価値や仕組みが提供される「x-tech」の動きが様々な分野で広がりつつある。そこではICT「プラットフォーム」によってデータのやりとりが容易化することで情報が「見える化」されることにより、企業間(BtoB)、企業と消費者(BtoC)、消費者間の関係(CtoC)が変化している。その変化により、プレーヤー間連携による生産・開発の最適化、ニーズのマッチング、個人の持つ有形無形の資産の活用などが進展し、それらが新しい価値や仕組を生み出そうとしている。

我が国においても、これらの新たなICT利活用サービスが多く登場しているが、一方で既存のサービスとの関係が課題となりうる。新たなサービスが登場すれば既存のサービスと競合し、侵食することがままある。既存の事業者との提携を進める新興サービス提供者の動きや、従来からの大手企業がICT関連の新サービスに進出を図る動きも見られ、極力摩擦が少ない形で進展していくことが望まれる。

また、大手のプラットフォーマーによる情報の囲い込みも懸念される。適切な競争と、消費者の保護が必要である。

「市場」拡大の二点目として、ICT輸出・海外展開とインバウンド需要喚起といったグローバル需要の取り込みを取り上げた。人口減少に伴う国内需要の縮小を最小限に抑えるだけでなく、海外の需要を取り込むことも欠かせない。ICT企業も輸出、M&Aや業務提携など、様々な形で海外展開を図っている。特にインフラ・システム輸出について我が国は官民挙げて取り組んでおり、ICT分野でも進展が期待される。また、インバウンドに関しては、特に受入態勢に関しては、Wi-Fiの整備や多言語対応などICTの利活用によって柔軟かつ迅速に訪日客のニーズに対応していくことが必要である。

これらについては、都市部はもちろん地方の経済活性化にも貢献すると期待されており、先進的な事例は各地で登場している。

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