第1章 世界と日本のICT 本章では、特集部の導入として、世界と日本のICTの現状を概観する。 まず第1節では、近年の日本を含む世界のICT市場の動向を、コンテンツ・アプリケーション、プラットフォーム、ネットワーク、端末市場というレイヤー別に概観する。世界のデータトラヒックは年々成長を遂げており、また、世界的にAI・IoT化が急速に進展して新たな市場が登場していることもあり、概ねICT各市場は活性化している。 次に第2節では、ICT市場の活性化により、データ流通が増大したことに伴う様々な課題に対応するため、世界各国で進むICT利用環境整備を取り上げる。例えば、2018年5月にはEU一般データ保護規則(GDPR)が施行されるなど法制度面での整備が各国で進められている。 続いて、そのように成長を遂げているICTが経済成長に与える影響について、日米を対象として考察する。第3節では、マクロ面から、1990年代以降の経済成長にICTが与えた影響について、日米のICT投資額、ICT資本ストック、また、成長率などから考察する。第4節ではミクロ面から、日米企業調査に基づき、ICT利活用がイノベーション、さらには企業の業績に与える効果の分析を行う。