第2章 ICTによる新たなエコノミーの形成 国内の経済活動の隆盛をみる上で重要な指標がGDP(Gross Domestic Product:国内総生産)である。GDPは、需要または供給からみることができる。需要面からみた場合、すなわち生産された財やサービスがどのような形で使われていくかに着目すると、「消費」「投資」「政府支出」「輸出入」の4つの要素で構成される。そのため、持続的成長に向けては、「消費」「投資」「政府支出」による内需を維持させながら、「輸出入」による外需を伸ばしていくことが重要になる。 ICTはこの両面において貢献することが期待される。具体的に、ICT は社会・経済に大きな変革をもたらしてきており、その進化によりICT産業と他産業の垣根を越えた新たなエコノミーを形成し、需要を喚起していくことが期待されるためである。また、同様に、国境を越えたグローバル需要の成長性の取り込みを実現する重要な役割も担っている。人口減少時代にあってGDPが従来のように伸びることは期待できないなか、ICTによるこれらの役割への期待は高まっている。 本章では、こうしたICTの社会・経済における役割を改めて確認するとともに、主として需要の観点から「市場」に着目した貢献の経路について具体的な検証を行う。