5 相互補完し合うオンラインとオフラインのコミュニティ (1)オンラインとオフラインのコミュニティへの参加状況 インターネットは、これまでも人々のコミュニケーションを大きく変えてきたが、近年はスマートフォンの普及によってさらにアクセスがしやすくなっている。また、ソーシャルメディアも様々なサービスが広く利用されるようになっていると考えられる。オンラインとオフラインのコミュニティへの参加状況について、スマートフォン普及前の2008年度に行った調査(以下、「2008年度調査」)とほぼ同様の調査を2017年度に行った。それら調査の結果を比較して、人々のICTによるつながりの現状について考察する。 図表4-3-5-1は、日本の20代〜70代のオフラインコミュニティとオンラインコミュニティへの参加状況について2008年度調査結果と2017年度調査結果とを比較したものである。ソーシャルメディアが発展してきたことによって、様々な形態のオンラインコミュニティが生まれており、オンラインかオフラインのいずれのコミュニティにも参加していない人(参加数が0)は、2008年度調査と比較して少なくなっている。 図表4-3-5-1 コミュニティへの参加数(オフラインコミュニティとオンラインコミュニティの合計)(出典)2008年度調査は総務省「ユビキタスネット社会における安心・安全なICT利用に関する調査」(2009)、2017年度調査は総務省「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」(2018) 次に、オフラインコミュニティとオンラインコミュニティへの参加と回答者全体と60歳以上の回答者に着目して両調査結果を比較した(図表4-3-5-2)。回答者全体の傾向としては、コミュニティに参加していない人が16.7%から11.7%へ、オフラインコミュニティのみ参加する人が24.9%から7.8%へとそれぞれ減っている。一方、オンラインのコミュニティのみ参加しているという回答が16.3%から44.1%へと増えており、オンラインでつながる人々が増えてきているという傾向が示された。この後に示す「つながり力」の計算結果から分かるとおり、オンラインコミュニティのみでつながっている人々はオンラインコミュニティとオフラインコミュニティ両方に所属する人々に比べつながり力が弱い傾向にある。オフラインコミュニティのみに所属する人々が、オフラインコミュニティとのつながりを得られるように、身近なつながりや、地域のつながりを創り出すICT利活用がより重要になると考えられる。ただし、「オンラインコミュニティのみ参加」は必ずしもオンラインでのみつながっていることを意味しているのではなく、オフラインでも従来型のコミュニティにあてはまらない、ゆるやかなつながりを持っている場合もありえる。 図表4-3-5-2 コミュニティへの参加状況(日本)(出典)2008年度調査は総務省「ユビキタスネット社会における安心・安全なICT利用に関する調査」(2009)、2017年度調査は総務省「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」(2018) 60歳以上について、2008年度調査では、オフラインコミュニティのみ参加している60歳以上の回答者が50.3%であったが、2017年度では16.3%に減少し、どちらも参加(43.5%)、オンラインコミュニティのみ参加(21.8%)という回答者が合計で65.3%に増えており、60歳以上の世代でもオンラインコミュニティが拡大している。