総務省トップ > 政策 > 白書 > 令和元年版 > デジタル経済の進化は人々を豊かにしているのか
第1部 特集 進化するデジタル経済とその先にあるSociety 5.0
3 Society 5.0の実現とその真価の発揮に向けて

(2)デジタル経済の進化は人々を豊かにしているのか

世界各国においてICTの導入と利用が進んでいく中で、リーマンショックの後、先進国に共通してGDP成長が停滞するという現象が生じている。このため、ICTは蒸気機関や電力といった過去の産業革命時に出現した重要な技術に比べると、成長をもたらす効果は薄いのではないかという「技術悲観論」も出てきている。また、GDPの伸び悩みは、ICTが無料でのサービスの提供やモノの共有を進めていることと関係しているのではないかということが言われてきている。そして、ICTはむしろ格差を広げる原因となっているのではないかといった議論も出てきている。

このように、デジタル経済の進化は人々を豊かにしているのだろうかという問いが投げかけられている。この点については、様々な見方が存在する。例えば、現在のGDP統計の技術的な捕捉という課題に過ぎないという見方もあれば、GDPはデジタル経済の指標として有効ではないのではないかという見方もある。

少なくとも、過去の重要な技術の教訓からいえることは、技術がその効果を生むまでにはタイムラグがあるということである。すなわち、新たな技術がその効果を生むためには、単に技術の導入だけではなく、その技術を生かす補完的な改革が必要ということである。

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