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第1部 特集 進化するデジタル経済とその先にあるSociety 5.0
第4節 デジタル経済の中でのコミュニケーションとメディア

(1)誰が炎上に加わっているのか

まず、炎上には、どのような人が参加しているのだろうか。この点について、炎上の書き込みに直接参加する人は、インターネット利用者のうちのごく限られた一部に過ぎないという研究結果がある。

木村(2018)20は、政治・社会系ニュースへのコメント分析では、過激な言説は1%程度の投稿者が生み出す2割程度のコメントの中に顕著であり、残り99%の投稿者による8割のコメントにはほとんど見られないと指摘した。また、吉野(2016)21は、「批判されている人を、ネットで批判した」経験がある者は1.1%であるとし、田中・山口(2016)22は、複数回書き込みを行う直接攻撃予備軍をインターネット利用者数の0.5%以下であると推定している。

これらの調査では詳細な数値の違いはあるものの、炎上参加者はインターネット利用者の数パーセント程度以下のごく少数に過ぎない点において共通しているといえる。

加えて、ごく少数の炎上参加者のなかでもさらにわずかの人の声が「ネット世論」を形成していることを示す調査結果もある。山口(2018)23は、過去1年以内に炎上に書き込んだことがある0.5%の人のうち約6割は炎上加担件数が年間3件以内であり、年間11件以上炎上に加担したのは1割に留まるとした。(図表1-4-3-2図表1-4-3-3)更に同調査において、炎上1件当たりに最も多く書き込んだ回数は、約7割が3回以下で、51回以上は3%程度であり、1件当たりの書き込み回数3回以下のユーザー全員の書き込み件数を合計しても、51回以上のユーザーの書き込み件数には達しないと指摘した。

図表1-4-3-2 炎上との関わり方
図表1-4-3-3 過去1年以内に書き込んだことがあるユーザーの炎上加担件数
(出典)山口真一(2018)『炎上とクチコミの経済学』


20 木村忠正(2018.01)「「ネット世論」で保守に叩かれる理由 実証的調査データから」中央公論2018年1月号

21 吉野ヒロ子(2016)「国内における「炎上」現象の展開と現状」Corporate communication studies(20)

22 田中辰雄・山口真一(2016)『ネット炎上の研究 誰があおり、どう対処するのか』

23 山口真一(2018)『炎上とクチコミの経済学』

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