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第2部 基本データと政策動向
第2節 電気通信事業政策の展開

3 電気通信インフラの安全・信頼性の確保

(1)電気通信設備の技術基準等に関する制度の整備・運用の在り方

ア IoTの普及に対応した電気通信設備の技術基準等に関する制度整備

近年のIoTの普及に伴う通信ネットワークの高度化や利用形態の多様化を踏まえ、様々なIoTサービスを安心して安定的に利用できるネットワーク環境の確保を目的として、2017年(平成29年)12月から、情報通信審議会情報通信技術分科会IPネットワーク設備委員会において、「IoTの普及に対応した電気通信設備に係る技術的条件」について検討を行っている。

2018年(平成30年)9月には同委員会の第一次検討の結果が一部答申7として取りまとめられ、①IoT機器を含む端末設備のセキュリティ対策に関する技術基準の整備、②LPWA8サービスに係る電気通信主任技術者の選任義務の緩和、③LPWAサービスに係る事故報告基準の緩和及び④大規模なインターネット障害発生時の対策に関する制度改正の方向性が示された。

この一部答申を踏まえ、①及び②については、情報通信行政・郵政行政審議会電気通信事業部会からの答申を受けて、2019年(平成31年)2月に端末設備等規則(昭和60年郵政省令第31号)及び電気通信主任技術者規則(昭和60年郵政省令第27号)を改正9するとともに、改正後の端末設備等規則の運用方法や解釈等を明確化する「電気通信事業法に基づく端末機器の基準認証に関するガイドライン」を2019年(平成31年)4月に策定・公表した。③及び④については、電気通信事業法施行規則(昭和60年郵政省令第25号)及び電気通信事業報告規則(昭和63年郵政省令第46号)における事故報告制度の規定を改正10するとともに、情報通信ネットワーク安全・信頼性基準(昭和62年郵政省告示第73号)を改正11し、インターネットの経路設定時の人為的ミスの防止等大規模なインターネット障害発生時に有効な対策についての規定を整備した。

同委員会では第二次検討として2018年(平成30年)10月から「IoTの普及やネットワーク仮想化等に対応した技術基準及び資格制度等の在り方」及び「新たな技術を活用した通信インフラの維持・管理方策」についての調査検討が進められた。具体的には、ネットワークのソフトウェア化・仮想化の進展に伴う当面の課題として、ハードウェアの仮想化に伴う機能維持・冗長性確保の在り方、ソフトウェアの信頼性確保の在り方、ネットワーク構成の把握の在り方及びネットワークの維持・管理・運用に求められる専門知識・能力の変化について論点整理が行われ、このうちソフトウェアの信頼性については、2018年(平成30年)12月に発生したソフトウェアに起因する携帯電話サービスの通信障害を踏まえ、情報通信ネットワーク安全・信頼性基準(昭和62年郵政省告示第73号)の改正等の必要性が示された。また、将来的な課題として5Gコアネットワークやネットワークスライシングなど仮想化技術の本格導入を見据えた技術基準等の制度の在り方について、引き続き検討することが適当とされた。さらに、通信インフラの効果的・効率的な保守・運用や非常時の応急復旧を含む通信インフラの適切な維持・管理の方策について、通信事業者の取組やグローバル展開を促進していくことが適当とされた。これらの検討結果が2019年(平成31年)3月に同委員会の第二次報告(案)としてとりまとめられた。

イ 災害時における通信サービスの確保

近年、我が国では、地震、台風、大雨、大雪、洪水、土砂災害、火山噴火等の自然災害が頻発しており、大きな被害を受けている。直近においても、平成30年7月豪雨、台風第21号、平成30年北海道胆振東部地震等において、停電による影響、通信設備の故障、ケーブル断等により通信サービスに支障が生じた。こうした累次の災害対応における振り返りを行い、これを踏まえ、災害時における通信サービスの確保に向けて、総務省と電気通信事業者との間で平素から体制を確認し、より適切な対応を行うことができるよう、2018年(平成30年)10月から「災害時における通信サービスの確保に関する連絡会」を開催している。同連絡会では、災害時における通信サービスの確保に関する当面の課題として、連携・体制面等での課題、迅速な復旧のための課題、迅速な情報把握等についての課題等について意見交換を行っている

ウ 電気通信事故報告の分析・検証

電気通信事業者の増加や提供サービスの多様化・複雑化に伴い、事故の要因も多様化・複雑化してきていることから、電気通信事故の防止に当たっては、事前の対策に加え、事故発生時及び事故発生後の適切な措置が必要である。総務省は、事故報告の検証を行うことにより、再発防止に向けた各種の取組に有効に活用するため、2015年(平成27年)から「電気通信事故検証会議」を開催し、主に電気通信事業法に定める「重大な事故」及び電気通信事業報告規則に定める「四半期報告事故」に係る報告の分析・検証を実施している。

同会議では、2017年度(平成29年度)に発生した電気通信事故の検証結果等を取りまとめ、2018年(平成30年)9月に「平成29年度電気通信事故に関する検証報告」を公表している。



7 「ネットワークのIP化に対応した電気通信設備に係る技術的条件」のうち「IoTの普及に対応した電気通信設備に係る技術的条件」に関する情報通信審議会からの一部答申(2018年(平成30年)9月12日)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban05_02000159.html別ウィンドウで開きます

8 Low Power Wide Area(LoRa等のIoTサービス用の新たな無線通信技術)

9 2019年(平成31年)3月1日公布、電気通信主任技術者規則の改正は同日施行、端末設備等規則の改正は2020年(令和2年)4月1日施行

10 2019年(平成31年)3月26日公布、同年4月1日施行

11 2019年(平成31年)3月26日公布、同年4月1日施行

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