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第2部 基本データと政策動向
第6節 ICT利活用の推進

(5)ICTリテラシーの向上

ア e-ネットキャラバンの推進

スマートフォンは、パソコン用webサイトや動画、SNSなどが利用可能である反面、SNSを利用して犯罪の被害にあう児童・生徒の数も高止まりするなど、スマートフォンの普及に伴うトラブルも増加している。こうした状況の下、多くのネット危機にさらされている児童生徒を守るため、児童生徒はもとより、指導する立場にある保護者・教職員等に対しても、インターネットを安心・安全に利用するための普及啓発が重要となってきている。

このため、総務省では、文部科学省及び情報通信分野等の企業・団体等と協力しながら、子どもたちのインターネットの安全な利用係る普及啓発を目的とした出前講座である「e-ネットキャラバン*16」を、児童・生徒、保護者・教職員等を対象として全国で実施しており、2018年度(平成30年度)は、全国2,529箇所で開催した。また、2016年(平成28年)から、「保護者・教職員向け上位講座」として、「フィルタリングの内容および設定」を中心とした教材を使用する「e-ネットキャラバンPlus」を新設し、保護者・教職員のフィルタリングについての理解の向上を図ることとしたほか、インターネット利用者の低年齢化に対応して、講座の対象学年を小学校5年生から、小学校3年生の生徒及びその保護者へと引き下げた。さらに、2018年(平成30年)には、保護者・教職員向け講座について、若者が使う主要なSNSの解説等を加えたリニューアルを実施した。

イ メディアリテラシーの向上

メディアリテラシーとは、放送番組やインターネット等各種メディアを主体的に読み解く能力や、メディアの特性を理解する能力、新たに普及するICT機器にアクセスし活用する能力、メディアを通じコミュニケーションを創造する能力等のことである。

総務省では、放送番組の情報を正しく理解するとともに、トラブルなくインターネットや携帯電話等を利用するなど、メディアの健全な利用の促進を図るため、各メディアの特性に応じた教材等を開発し、普及を図っている。

インターネットや携帯電話等の分野においては、ICTメディアリテラシーを総合的に育成するプログラムである「伸ばそうICTメディアリテラシー〜つながる!わかる!伝える!これがネットだ〜」を公開している17。また、教職員や専門家からのヒアリングを通じて、インターネットに係る実際に起きた最新のトラブル事例を踏まえ、その予防法等をまとめた「インターネットトラブル事例集18」を公開している。

放送分野においては、これまでに開発した小・中学生及び高校生向け学習用教材の貸出しを中心とした普及・啓発を行っているほか、「放送分野におけるメディアリテラシーサイト19」を開設し、ウェブ教材や教育者向けの授業実践パッケージ(指導案、授業レポート、ワークシート等)を開発・掲載するなど、青少年のメディアリテラシーの向上に取り組んでいる。

また、高齢者のICTリテラシーの向上については、2018年(平成30年)11月から厚生労働省とともに開催している「デジタル活用共生社会実現会議 」において、高齢者が、これからの本格的なIoT、AI時代においても取り残されることなく、ICT機器を利活用し、より豊かな生活を送ることができるようにするため、高齢者が、住居から地理的に近い場所で、心理的に身近な人からICTを学べる環境を整備する 「デジタル活用支援員」の仕組みについて検討が行われ、2019年(平成31年)3月に報告書をとりまとめた。

ウ 青少年のインターネット・リテラシー向上

総務省では、青少年のインターネット・リテラシー向上施策の重要性に鑑み、同施策を効果的に進めていくために、2011年度(平成23年度)に青少年のインターネット・リテラシーを可視化するテストとして「青少年がインターネットを安全に安心して活用するためのリテラシー指標(ILAS:Internet Literacy Assessment indicator for Students)を開発し、2012年度(平成24年度)より全国の高等学校1年生相当を対象に実施してきた。2018年度(平成30年度)は、人数約12,600名・対象校78校の規模で、スマートフォン等情報通信機器の使用実態に関するアンケートと共に青少年のインターネット・リテラシーを測るテストを実施した(図表4-6-4-2)。

図表4-6-4-2 ILASの実施結果の概要(2017年度(平成29年度))20

また、青少年へのスマートフォンの著しい普及に鑑み、従来の携帯電話とは異なるセキュリティ実態等を踏まえ、青少年自身のリテラシー向上に加え、保護者や教職員等のリテラシーの向上の重要性がより一層高まっている。このため、各総合通信局及び沖縄総合通信事務所が中心となり、地域における青少年及び保護者・教職員等に対して、各地域で活動する関係者(自治体、PTA、消費者団体、学校関係者、有識者、事業者、NPO等)が幅広く連携し、リテラシー向上のための普及啓発活動を実施する体制の整備を進めるべく、地域の関係者が一体となった推進体制の構築や連絡会の開催など総合的な周知啓発活動を展開している。

さらに、多くの青少年が初めてスマートフォン・タブレット等を手にする春の進学・進級の時期に重点を置き、青少年やその保護者に対し、スマートフォン利用に際してのリスクや必要な対応についての情報が伝わるよう、関係府省庁や安心ネットづくり促進協議会等の関係団体、関係事業者が連携して、スマートフォンやソーシャルメディア等の安心・安全な利用について、集中的な啓発活動を展開する「春のあんしんネット・新学期一斉行動」を、2018年度(平成30年度)も例年同様実施した。



16 e-ネットキャラバン:https://www.fmmc.or.jp/e-netcaravan/別ウィンドウで開きます

17 伸ばそうICTメディアリテラシー:http://www.soumu.go.jp/ict-media/別ウィンドウで開きます

18 インターネットトラブル事例集ダウンロードページ:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/jireishu.html別ウィンドウで開きます

19 放送分野におけるメディアリテラシーサイト:
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/hoso/kyouzai.html別ウィンドウで開きます

20 2018年度(平成30年度)実施結果については、2019年度(令和元年度)内に公表予定

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