昭和48年版 通信白書

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3 国際放送

 社団法人日本放送協会では,昭和9年6月以来,国際電話株式会社の設備を使用して,朝鮮半島及び中国の一部に向け国内放送番組を送出していた。これは当時これらの地域に設置されていた中波ラジオ放送局が国内放送番組を中継放送するためのものであったが,この放送は指向地域だけでなく,広く世界各地に散在する在外公館をはじめ,在外同胞や外国人によっても受信されていた。しかし,次第に本格的な在外同胞のための海外向け放送を要望する声が高まった。一方国内にあっても,対外広報強化のためにも海外向け放送を実施すべきであるという声が強くなった。こうした情勢のもとに社団法人日本放送協会は,昭和10年6月1日から日本語及び英語による北米西部及びハワイ地域に向けて海外放送の第一声を放送した。その後次第に拡充され,19年には送信方向15方向,使用語24,1日の放送時間は32時間を超えるという活況を呈した。
 戦後,国際放送は中止されたが,我が国の現状を諸外国に伝え文化の交流を図り国際親善を増進するため,その速やかな実現が要望され,放送法にも国際放送に関する規定が設けられた。放送法に基づく政府の命令により,NHKは27年2月から,北米,華北,華中,フィリピン・インドネシア及びインドの5方向に対し放送を開始した。政府はその後数次にわたり拡充強化を図り,47年度には18の放送区域に対する放送をNHKに命令している。NHKでは政府命令によるものと一体として,NHKの業務として一般向け放送及び特定地域向け放送の時間増等よる内容充実を行っており,我が国の国際放送はほとんど全世界に及ぶに至っている。
 放送番組はニュース,解説に重点がおかれ,これらが全放送時間の半分以上を占めており,またこのほか社会,音楽等の番組も放送されている。

 

 

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