昭和48年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

第4節 自営電気通信

 我が国においては当初電信法により電信及び電話はすべて政府が管掌するものとされ,自営はいっさい認められなかった。その後無線通信が海上における人命,財貨の安全確保のため欠くことのできないものであることが認識されるに及び,欧米諸国においては大洋を航行する船舶に対し,次第に無線電信施設を強制する措置がとられるようになった。このため,それらの諸外国を航行する我が国の船舶にも無線電信を設置しなければならなくなった。しかし,これら船舶の全部に官設の無線電信局を設置することは国家財政上不可能であり,その上将来における無線施設の普及発達を図る必要も考えられたので,大正4年無線電信法を施行し,政府の専掌主義にはなはだしく反しない限度において民間による自営の無線通信施設を認めることとなった。これにより船舶(航空機については大正10年から)に施設するもの,実験の専用に供するもの等,自営の無線通信施設が誕生した。
 第2次世界大戦後新憲法の施行に伴い,25年6月無線電信法に代って電波法が施行された。同法において従来の政府の専掌主義が改められ,電波は広く国民に開放されることになり,無線通信の利用分野は技術の進歩と相まって漸次拡大されてきている。
 また,有線電気通信については,昭和28年電信法が廃止され,有線電気通信法が施行されるに及んで,自己の用に供する有線電気通信設備は郵政大臣への届出だけで自由に設置することができるようになった。これに伴い,自営の有線電気通信設備は,電気事業,鉄道,軌道その他の運輸事業をはじめ各分野で設置されている。
 自営の電気通信設備を有し所要の通信を行っている代表的なものとして,警察,海上保安,消防,建設,気象,国鉄,電力等をあげることができる。これらは事業(業務)運営上の補助手段として電気通信を利用しているものであり,なかには電気通信,特に無線通信を利用しなければ本来の事業又は業務の目的を達し得ないものもある。

 

 

3 国際放送 に戻る 第1部第2章第1節 昭和47年度の通信の動向 に進む