昭和48年版 通信白書

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1 経済動向と通信活動の状況

 前年度末から景気は回復の兆しをみせつつあったが,国際収支の大幅な黒字,公定歩合の引下げにより金融は緩み,47年度予算も一般会計で対前年度21.8%増,財政投融資計画で対前年度31.6%増と拡大された結果,景気は急速に回復に向かった。景気動向指数も総合系列では年度当初から毎月50を超えており,後半には過熱の様相を示すようになった。国民総生産は95兆5,644億円になり,前年度に比べ17.3%の伸びとなった。
 このような経済動向を背景に通信サービスの生産額は,前年度に比較し17.0%の伸びとなり,46年度の増加率13.6%を上回った。
 各業種別に47年度の動向をみると次のようになっている。
 郵便事業においては,郵便物数は47年2月の料金改定の影響で年度当初は前年度に比べ減少傾向を示していたが,8月以降はおおむね前年同月の実績を上回るようになり,最終的には126億通(個)となり,前年度に比べ2.2%の増加となった。その結果郵便サービスの生産額は3,321億円に達し,前年度に比較し21.1%の増加となった。
 電話事業(有線放送電話を含む。)においては,電話機数の総数は,対前年度比14.1%増の3,402万台になった。しかし,近年住宅用電話の普及とともに,公社電話1加入当たりの1日平均利用回数は減少傾向を示しており,47年度は前年度より0.5回少ない5.0回となった。電話サービスの生産額は1兆3,428億円で対前年度比16.3%の増加を示した。内訳は国内通話は公社電話によるものが1兆3,009億円,有線放送電話によるものが210億円で,国際通話は209億円となっている。
 電信事業においては,国内電信は47年3月の料金改定により対前年度比52.2%の増収となった。国内電報の利用数は対前年度比12.5%減少となり5,590万通となった。この減少傾向は39年度以来続いており,38年度の利用数の59%になっている。国内加入電信は新たに6,591加入増加し,5万8,975加入となった。また,国際電信では電報の取扱通数は45年度以来漸減傾向にあったが,47年度は対前年度比1.3%増の562万通となった。更に,国際加入電信は利用度数で802万度になり,36.1%増と前年度に引き続き30%を超える大幅な伸びを示した。この結果,電信サービスの生産額は35.9%増の650億円となり,このうち国内電信によるものが375億円,国際電信によるものが275億円であった。
 放送事業においては,NHKではテレビ及びラジオの局数(免許付与局数,以下同じ。)がそれぞれ456局,44局増加し,3,338局,707局になった。また,民間放送では,テレビ及びラジオの局数がそれぞれ145局,7局増加し,1,421局,165局になった。民間放送1社当たりの平均放送時間数は,前年度に比べほとんど変化はない。なお,NHKの受信契約数でみた47年度末のテレビの世帯当たり普及率は87.0%,カラーテレビのみでは55.6%となっている。放送サービスの生産額は前年度に比較し14.1%増の4,924億円となり,このうちNHKによるものが1,082億円,民間放送テレビによるものが3,335億円,民間放送ラジオによるものが507億円であった。

 

 

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