昭和48年版 通信白書

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第3部 各  論

第1章 郵  便

 第1節 概  況

 昭和47年度の郵便事業は比較的順調に推移した。
 45年12月の郵政審議会の「郵便事業の正常運営を確保するための方策に関する答申」を受けて,46年4月に小包郵便物の料金の改正を,また同年7月に事業を弾力的に運営できるよう諸制度の整備を行うとともに,第三種郵便物,第四種郵便物及び特殊取扱料金を改正し,更に47年2月には第一種郵便物及び第二種郵便物の料金改正を行った。
 また,世論の要請にこたえて46年10月に全国の集配郵便局において,全国の主要なあて地に配達するまでに要する日数を示した「郵便日数表(郵便物標準送達所要日数表)」を公表することにより,「郵便遅配が日常的となったかのような感すら与えている。」(前掲の郵政審議会答申)とまで言われた郵便の業務運行も,これを契機としておおむね安定化に向かいつつある。
 しかしながら,郵便物の利用増,人口の大都市集中などに即応する体制の整備が必要であり,郵便局舎をはじめとする各種作業施設の改善を進めるほか,事業の死命を制する労働力の確保を図ることが重要な課題となっている。これまでも機械化,作業方法の改善,利用者への協力依頼などに努力を重ねて省力化を図ってきているが,郵便事業においては,我が国の労働力人口の増加が今後あまり期待できないなかで,いかにして必要な労働力を確保していくかは一つの大きな課題である。そのためには,新しい労働力の給源の開拓に工夫をするとともに,職員の処遇や労働条件の改善に努め,あるいは,モラールの向上や能力の開発など職員の能力を十分発揮できるような措置を講じていかなければならない。
 労使関係がとかく円滑を欠き,事業運営の障害となることもしばしばであるので,健全な労使関係の樹立も急務である。
 また,郵便事業の運営に必要な経費の中で人件費関係の経費が約90%を占めている現状に加えて,今後の人件費の推移は郵便事業財政にとって重大な問題となってこよう。
 事業の近代化合理化の努力はたゆまず続けられている。43年7月に導入された郵便番号制は,大量の郵便物を処理するシステムとしては画期的なものであり,郵便番号自動読取区分機の活用と相まって郵便物の区分作業の省力化に威力を発揮している。このように,郵便事業の近代化合理化については,事業の内部で真剣な努力が続けられなければならないことは当然であるが,郵便番号の記載をはじめ,受箱の設置,住居表示制度の導入など国民利用者の協力を必要とする分野も多くなっている。今後どのようにして国民利用者の理解と協力を求めていくかも郵便事業にとって大切な問題である。

 

 

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