昭和48年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

2 施設及び要員の現況

(1) 郵便局
ア.郵便局の現況
 47年度末現在と46年度末現在の郵便局数を比較すると第3-1-7表のとおりである。
 郵便局の数は,46年度末現在に比べ432増加したが,このなかには本土に復帰した沖縄県のもの104(集配普通局7,無集配普通局1,集配特定局70,無集配特定局26)が含まれているので,これを除いた純増加数は328である。
 その内訳をみると,地況の発展あるいは利用者サービス向上のために集配普通局3,無集配特定局224,簡易郵便局138の新設が行われ,一方,炭鉱の閉山等人口の流出により利用者が減少した地域では無集配特定局15,簡易郵便局23が廃止された。
イ.郵便局の普及状況
 1郵便局当たりの平均人口及び平均面積の年度別推移は第3-1-8表のとおりである。
 全国都道府県別に1局当たり平均人口をみると,最も多い県は神奈川県の1万1,675人,最も少ない県は島根県の2,082人である。1局当たりの平均面積を比較すると,東京都の1.81km2が最小で,北海道の52.73km2が最大である。
(2) 要員
ア.郵便物と定員の推移
 47年度の郵便業務定員は総人員13万195人で,そのうち内勤者は5万7,138人(44%),外勤者は7万3,057人(56%)である。最近5年間の郵便物数の増加と定員の伸びを比較すると第3-1-9表のとおりである。
 これによると,43年度を100とした場合,47年度では,物数は120,定員は106であって,郵便物数が増加したほどには定員は増加していない。労働力の需給関係がひっ迫するとともに,年々人件費が上昇を続け,それが郵便事業財政を圧迫する要因となっていることを考えると,郵便事業にとって労働力の節減を図ることは緊急の課題である。郵政省はそのために各種の施策を講じ,定員の節減を図っている(第3-1-10表参照)。
イ.職員の時間外労働及び臨時職員の雇用
  郵便の取扱量は,日又は月により極めて波動性が大きい。取扱量の波動に対しては,主として職員の時間外労働により処理しているが,特に,贈答用小包,年賀はがき等により,郵便物数が増大する年末年始においては,職員の時間外労働だけでは処理することができないので,大量の臨時職員を雇用して業務の円滑な運行を確保することとしている。
  また,新規学卒者の採用が困難になってきているので,これに対処するため,大都市及びその近郊発展地の郵便局においては,住宅団地にあてた郵便物の配達や短時間の局内軽作業に学生や主婦の労働力を導入したり,小包郵便物の配達の一部を民間に委託したりすることを試行している。
  なお,47年度において,職員の時間外労働は延べ1,639万時間,臨時職員の雇用は延べ324万人にのぼっている。
(3) 集配
ア.配達区画
 郵便物の配達は,配達すべき郵便物数や箇所数を考慮して1日に1人で分担できる区画に分割して行っている。この区画を配達区というが,通常郵便物を1日に配達する度数によって分けると第3-1-11表のとおりである。
 郵便物数の増加,核家族化の進行に伴う配達箇所数の増加,地況の発展などによって過去5年間で通常郵便物の配達区数は毎年平均900区増加しており,47年度末においては配達区数は全国で4万8、361区となっている。
 ちなみに,諸外国における通常郵便物の配達度数別の配達区数分布状況は第3-1-12図のとおりである。
 諸外国においては,2度以上の配達区域はおおむね限られた地域となっている。これに比べ,我が国では2度以上の配達区数は約半数を占めており多数の労働力を必要とする状況にある。
イ.速達配達区域
 速達配達区域は,長年,配達受持郵便局から陸路4km以内の場所とされてきた。最近人口の集中による都市及びその周辺地域の著しい発展により,配達受持郵便局から4kmを超える場所に大規模な団地が建設されるなど郵便需要の高い地域が出現するようになった。そこで42年に配達受持郵便局から陸路4kmを超え,かつ6km以内であって住宅等が集中する場所のうち速達郵便物に対する需要の多い場所にまで速達配達区域を 拡張し,46年には更に「6km以内」を「18km以内」にまで拡張した。この措置により47年度末現在では全国の世帯の90%に相当する約2,800万世帯が速達配達区域に含まれることになった。
ウ.ポストの設置状況
 我が国におけるポストの設置数は,47年度末現在で13万1,746個である。ポストの数,ポスト1個当たり人口及び面積の年度ごとの推移は,第3-1-13表のとおりである。
 毎年,都市周辺などの地況の発展に対応して,ポストの設置が行われてきているので,普及度は逐年向上している。
 現在全国主要都市の一部地域には,速達専用のポスト(青色)が,また,東京都23区内全域,大阪市及び名古屋市の大部分,横浜市,京都市及び札幌市の一部地域には,区分作業をスピード化することをねらいとして差出口があて先の方面別に二つあるポストが設置されている。
エ.へき地等における集配施設
 特に交通困難であるため,直接集配を実施することができない地域については,郵便規則第85条を適用して,周年又は期間を限って郵便物を受持郵便局の窓口で交付し,又は郵便局長の指定する場所に設置された郵便受箱(「集合受箱」といわれている。)に配達するなどの方法をとっている。最近における郵便規則第85条適用地の増減状況は第3-1-14表のとおり
であるが,全体としてこれらの地域は若干減少する傾向にある。
(4) 輸送
ア.輸送施設の現況
 郵便局と郵便局との間の郵便物の輸送は,遠いところは主として航空機と鉄道によって,近いところ又は大都市の中では主として自動車によって行われている。
 年々増加する郵便物を円滑に,かつ,より速く輸送するため,輸送手段については各種輸送機関の動向をみながら種々施策を講じている。
 郵便物を輸送している線路の単粁程を輸送機関別に示すと第3-1-15表のとおりである。
 これをみると,自動車及び航空の単粁程は年々増加しているが,鉄道及び道路の単粁程は減少している。これは,国鉄及び私鉄の合理化の推進に
より郵便輸送に適さなくなった鉄道線路が出てきたこと,また,道路状況が改善されたことによって自動車輸送に切り替えられたこと,夜間の航空郵便専用便に加えて,昼間にも航空便を多数開設したことによるものである。
 また,47年度については,沖縄復帰に伴い,航空,水路の単粁程が特に大幅に増加している。
イ.郵便輸送機関別シェアの推移
 郵便線路の総延粁程に占める輸送機関別分担率の推移は第3-1-16図のとおりであり,戦後における航空機,自動車のめざましい発達は郵便輸送にも幾多の変革をもたらし,鉄道便の比率が低下し,自動車便及び航空
便のシェアが増加してきている。

第3-1-7表 郵便局数の推移

第3-1-8表 郵便局普及状況の推移

第3-1-9表 郵便物数と郵便業務定員の推移

第3-1-10表 郵便業務定員の増減状況

第3-1-11表 郵便配達区画の状況(47年度末現在)

第3-1-12図 諸外国における郵便配達区画の状況

第3-1-13表 郵便ポスト普及状況

第3-1-14表 郵便規則第85条適用地の状況

第3-1-15表 郵便物輸送機関別単粁程

第3-1-16図 郵便の郵送機関別分担率の推移(40年3月〜48年3月)

 

 

第3部第1章第3節1 サービスの現況 に戻る 3 事業経営状況 に進む