昭和48年版 通信白書

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3 局舎の改善と機械化

(1) 局舎の改善
 郵便局舎は,事業運営の拠点であって,その良否は直接業務運行に影響するところが大きい。これまでにも数次にわたる長期計画をたて,郵便局舎の改善に努力をしてきた。しかしながら,現在なお改善しなければならない局舎を多く残しており,特に人口と産業の集中により郵便物数の急激な増加が続いている大都市とその周辺において土地の確保難などもあって作業スペースが不足し,作業環境の改善を要する局舎が多く,このことが業務の円滑な運行を阻害する要因の一つとなっているのが実情である。
 最近における郵便局舎の改善状況は第3-1-20表のとおりである。
 30年度以降47年度までに,普通郵便局629局,特定郵便局8,857局が改善された。
 この間,普通郵便局については局舎総面積で2.7倍近くに,また,鉄筋化率は42%から90%へと増加し,1局当たり面積も平均68%増と大型化し,局舎事情は次第に好転してきている。
 特に東京においては,大型普通通常郵便物の集中処理のために,42年5月に晴海通常郵便集中局が,また,小包郵便物の集中処理のために,42年6月に東京北部小包集中局が,43年6月に東京南部小包集中局が設置された。更に,大阪においては47年9月には大阪小包集中局が設置された。これらの局においては,同一種類の郵便物のみを取り扱う集中局の特殊性を生かし,徹底した搬送及び区分作業の機械化とともに,周辺局との間の輸送にコンテナ便を使い,従来,発着場から作業場まで重い大郵袋を幾度も人手によりあげ降ろししていた作業形態を一変させた。
 しかしながら,このような改善の実績とこの間の業務量の増加とを比較してみると,30年度以降47年度までに,郵便物の引受総数は,2.6倍になったのに対し,全郵便局の局舎総面積は1.88倍にとどまっており,まだ相当数の狭あいな局舎が残っている。したがって今後とも,将来の郵便物の増加,輸送手段の改革,作業機械の開発,作業環境の改善状況等を見通しながら,長期的視野にたった局舎改善が積極的に推進されねばならない。
(2) 郵便作業の機械化
 郵便の作業は,大部分を人手に頼らざるを得ないものであるが,それでもできる限りの機械化を行い省力化の努力がなされなければならない。
 郵便物を取り集めたり配達したりする作業は,その性質上おのずから機械化に限度があるが,局舎内での郵便物の区分や郵袋の搬送作業には,最近の技術の発達とともに機械化が取り入れられている。
ア.引受区分
 従来,郵便物はその形態が多種多様であるところから,手紙やはがきを選別したり,取りそろえたり,切手を消印したり,あて先別に区分したりする作業は.機械化になじみにくいとされてきた。先に述べたように,41年度に従来の第一種郵便物と第五種郵便物が形状により第一種定形郵便物と定形外郵便物とに分けられ,郵便物の規格化が実現した。更に,43年に実施された郵便番号制により,郵便物には郵便番号が記載されるようになり,数字による区分が可能になった。このような条件が整うとともに,科学技術の分野,特にエレクトロニクス分野の飛躍的な発展に支えられて,ポストから取り集められた郵便物のなかから手紙,はがきなどの定形郵便物を自動的に選別し,切手の位置にあわせて上下表裏を取りそろえ,1時間に約2万4,000通のスピードで切手類を消印する「郵便物自動選別取揃押印機」と,定形郵便物を1時間に約2万2,000通のスピードで100ないし150方面に区分けする「郵便番号自動読取区分機」が実用化された。
 前者については,我が国独特の色検知方式(切手の色で速達扱いと普通扱いに分ける。)の採用がすぐれた特徴となっており,また,後者については,手書きあるいは印刷された千差万別の郵便番号の数字を自動的に読み取る方式をとっており,これは国際的にもその実用性が高く評価されているものである。
 47年度末現在,全国で郵便物自動選別取揃押印機は77台,郵便番号自動読取区分機は71台が配備されている。また,45年には両機の自動連結にも成功し,選別,消印から区分作業まで一貫した機械処理が可能となり,一層の省力化と増加する郵便物の迅速な処理に大きく貢献している。
イ.搬送設備
 郵便局の中での郵便処理の過程では,郵便物を搬送する作業量が極めて大きく,この面での機械化は,比較的容易なこともあって,早くから進められてきた。最近では,全国の主な郵便局には,産業界における運搬管理技術の成果を大幅に取り入れた各種新鋭搬送設備,小包区分機等が設備されている。
ウ.その他の作業機器
 局内作業については以上のほか,窓口事務や送状類等各種証拠書類の作成,郵便物の授受,は束,郵袋の開閉,査数など多くの作業がある。
 これらの分野についてもできる限り省力化を図るためその作業に応じた機器類の開発が進められている。現在使用されている主な作業機器をあげると,書留郵便物の配達証を作成する「書留郵便物配達証作成機」,手紙とはがきを併せて消印できる「書状自動押印機」,あて先別に区分けされた郵便物をは束する「郵便物は束機」,郵便物を査数する「郵便物計数器」また,窓口事務関係では,「郵便料金計器」や「別納料金受領証作成機」,「郵便切手発売機」,「郵便はがき発売機」等がある。

第3-1-20表 年度別郵便局舎改善状況

 

 

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