昭和48年版 通信白書

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5 輸送業務の近代化

(1) 47年度における輸送施設の改善
ア.鉄道輸送
 47年3月の国鉄ダイヤ改正により,東海道本線,山陽本線では,今まで郵便車を連結していた急行旅客列車が特別急行列車に格上げされたり,あるいは廃止されたりしたために,その郵便車は荷物専用列車に連結替えを余儀なくされたが,同時にその荷物専用列車も拠点間集約輸送ということで停車駅が大幅に整理(従来の停車駅96駅が41駅)されたこともあって,その代替施設として延べ5,405kmに及ぶ専用自動車便を開設して対処した。
 小量単位輸送と積卸作業の効率化を推進するため,46年10月に引き続いて47年10月に汐留駅一東小倉駅間にパレット専用締切便を上下各1便増強した。
 47年10月の国鉄ダイヤ改正では,日本海縦貫線の客荷分離が行われ,郵便車の一部が荷物専用列車に連結替えされたが,郵便送達速度を確保する
ため富山―泊間ほか5区間で延べ471kmの専用自動車便を開設した。
 郵便物送達日数の短縮と安定を図るため,小包郵便物を輸送している貨車便の一部(17便)をコンテナ便化(1日コンテナ数43個)した。なお,国鉄の荷物輸送の拠点間集約輸送方式の整備に即応し,郵便輸送においても拠点間直行のコンテナ輸送を大幅に増強した。その結果47年10月では,1日153個のコンテナを郵便で使用することになり,41年時の1日32個に比べるとコンテナ使用数は約5倍になっている(第3-1-23表参照)。
 このほか大阪―和歌山間の郵便輸送を鉄道から自動車に変更した。
イ.自動車輸送 
 前述の鉄道輸送方式の変更に伴い,47年度中に全国で50線路延べ8,500kmに及ぶ自動車便の大幅な増強を行った。
 大阪小包集中局の開局(47年9月)に伴い,集中局と集中区域内各局(39局)及び京都,神戸両中央局との間に「郵便コンテナ」による輸送方式を採用した(18線路延べ2,200km)。
 発展の著しい福岡地区について,自動車線路の再編成を行うほか,バスのワンマン化,路線の廃止など一般輸送機関の合理化に対処するため,全国で13線路延べ1,700km、の自動車便を新設した。
 なお,輸送量の少ない62区間については軽四輪車による運送便を開設した。
ウ.航空輸送
 沖縄の復帰に当たり,本土と沖縄間の輸送力確保と送達速度向上のため次のとおり航空便の増強を実施した。
    東 京―那覇間   1日上下各3便
    大 阪― 〃      〃  3〃
    福 岡― 〃      〃  1〃
    鹿児島― 〃      〃  1〃
    名 瀬― 〃      〃  1〃
 また,沖縄本島と先島諸島間についても航空便の便数を増加した。
エ.船舶輸送
 カーフェリー,コンテナを利用した海陸一貫輸送を進めており,46年度に大阪-高知間に,また47年10月からは東京(川崎港)一延岡(日向港)間に長距離のカーフェリー・コンテナ便を開設し,京浜地区南九州間の大型通常及び小包郵便物の大幅なスピードアップを図った。
 本土沖縄間についても,復帰時から船舶輸送便の増強を行った。
(2) 今後の郵便輸送
 各種輸送機関の近代化の方向は次のとおりである。
  国鉄では,都市間族客輸送,中長距離大量貨物輸送,大都市通勤輸送の3点を今後の方策の重点としている。荷貨物輸送については,拠点間直行輸送方式,物資別適合輸送方式を推進することとし,大量高速輸送を図ろうとしている。
  自動車輸送は,大量物資の専用輸送,小口扱貨物のコンテナ,パレットによるユニットロードシステムと機械荷役の結合による一貫輸送方式が推進ざれている。
  航空輸送は,航空機の大型化高速化が急速に進められ,荷貨物輸送については貨物ターミナルの設備改善と併せ,空陸一貫輸送方式の開発導入の研究が進められている。
 これらに対応する今後の郵便輸送網は,拠点局相互間を結ぶ「拠点間輸送」と拠点局を起点とする「地域内輸送」とに分離され,拠点間輸送では,長距離区間は航空機,高速鉄道,中近距離区間は鉄道郵便車や国鉄フレートライナー,船舶のほか,高速道路,バイパスを利用した自動車輸送が主体となろうし,自動車による輸送は高速道路の整備に伴って長距離区間にまで拡大されよう。
 また,コンテナ,パレットの使用やカーフェリーの利用により荷役の合理化を推進して輸送時間,授受時間の短縮を図る必要がある。
 すなわち,今後の郵便輸送の課題は,ますます増大する郵便物の「大量輸送」,交通機関の多様化や発展に即応した「高速輸送」及び省力化に着目した少経費多効果の「合理的輸送」の三要素をいかに充足させるかにあるといえる。

第3-1-23表 鉄道郵便施設増強状況

 

 

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