昭和48年版 通信白書

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第5節 外国郵便

1 外国郵便物数の動向

(1) 概 況
 外国郵便は,第2次世界大戦後の昭和21年9月に種々の制約のもとに再開されたが,再開直後の物数は,戦前(9年〜11年)の水準の1割にも達しなかった。しかしながら,戦後初の国際条約への加入となった万国郵便連合のパリ条約への加入,数次にわたる取扱業務の拡張,日本経済の復興等に伴って,漸次回復に向かい,34年度〜35年度の間には戦前の水準にまで回復した。
 その後も,貿易の拡大,国際交流の進展を反映して利用物数は急激に伸張し,40年度には,30年度の物数の2.5倍の物数となった。すなわち,この間通常郵便物は年平均増加率11%,小包郵便物で平均16.4%の大幅な伸びを示した。
 41年度以降45年度までは,この伸び率もやや低下したが,通常郵便物で年平均増加率9.1%,小包郵便物で年平均増加率7.3%と安定した漸増傾向を示した。
 46年度になると,物数の伸びが鈍化し,通常郵便物の増加率は,対前年度比1.5%と戦後最低のものとなり,小包郵便物に至っては,対前年度比で7.6%の減少を示した。もっとも,これは,前年度の利用物数が万国博覧会開催という特殊な事情のもとでのものであったので,この反動が現れたことと,46年8月以降のドルショック,多数国間通貨調整等の国際的経済要因の影響によるものと考えられる。
 47年度の外国郵便物数は,外国あて通常郵便物が8,500万通,同小包郵便物は201万個であり,外国来通常郵便物は1億700万通,同小包郵便物は134万個であった。これを46年度に比較すると,外国あて郵便物が大幅に減少しているが,これは,沖縄あて郵便物が47年5月15日の沖縄本土復帰に伴い,内国郵便物となったためである。
(2) 船便航空便別の利用動向
 外国あて通常郵便物について船便航空便別の利用動向をみると,30年代の前半までは,船便,航空便とも毎年高い増加率を示し,ほぼ平行したカーブで増加したが,後半からは航空便の利用が急激に増加したのに反し,船便の増加率はやや鈍化した。特に40年代に入ると,この傾向に更に拍車がかけられ,航空便と船便との利用物数の格差は極めて大きなものとなった。すなわち,35年度に63対37であった航空便と船便との利用物数比は,47年度には,76対24となり,船便から航空便への利用の移行が強くみられた。
 この利用の移行は,外国あて小包郵便物についても例外ではなかった。すなわち,30年から一貫して利用物数上優位を占めていた船便小包は,次第に航空小包の利用の増加で格差が縮められ,46年度では逆に航空小包が優位を占めるに至った。もっとも,航空料金が比較的高額であるため,重量の重い小包については,なお船便で送付されるものが多く,逆に,航空小包は軽量な小包が圧倒的に多いことからみれば,船便から航空便への移行は,小包郵便物の場合は,通常郵便物の場合ほど顕著ではない(第3-1-24図及び第3-1-25図参照)。
(3) 本邦発着郵便物の地域別構成
 本邦発着外国郵便物の地域別の物数分布は年度によって多少の差はあるが,ここ数年間大きな変化はない。
 47年度の調査によれば,外国あて郵便物は,通常郵便物及び小包郵便物とも北米あてが断然1位を占め,第2位のアジアあて郵便物と合計すると,通常郵便物の64%,小包郵便物の69%がこの両地域で占められている。
 一方,外国から来る郵便物についても,北米から我が国にあてられる郵便物が最も多く1位を占め,第2位は,通常郵便物の場合は欧州,小包郵便物の場合はアジアとなっており,1位と2位とを合計すると通常郵便物で72%,小包郵便物で74%がこれら両地域で占められている。
 この地域別構成は,日本とこれらの地域との経済,文化等各般の密接なつながりを表すものといえる(第3-1-26図参照)。

第3-1-24図 年度別外国あて通常郵便物数

第3-1-25図 年度別外国あて小包郵便物数

第3-1-26図 本邦発着外国郵便物の地域別構成(47年度)

 

 

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