昭和48年版 通信白書

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第2章 公衆電気通信

第1節 概 況

 近年の公衆電気通信の特徴は,第一に量的拡大ということがあげられる。第2次世界大戦で電気通信設備は壊滅的な打撃を受け,終戦時には,電話加入数はわずか47万を数えるにすぎないものとなった(戦前最高時は昭和18年の108万)が,以来復興期を経て,産業用電話の重点架設,事務用電話の増設,そして住宅用電話の普及に努力が払われ,今やその数2,000万の多きに達しており,電話機数においては,米国に次ぐ世界第2位を占めるものである。特に近年の伸び率は高く,年平均16%以上というハイペースとなっている。これは日本経済の急速な成長のもとに拡大する電気通信需要に対応して,設備投資が進められたものであるが,これには合理的な料金制度ないし受益者負担制度が資金確保にあずかって大きな力となった。
 また,国際通信については,戦後,急速に進んだ国際化の進展により,人的物的の国際交流が飛躍的に増加し,国際通話需要もこれと歩を一にして急増し,海底ケーブル,衛星等伝送手段の充実,拡大と相まって,43年度には国際通話の利用度数は125万度,47年度415万度と大きな伸びを示している。
 特徴の第二は質的充実である。近年における電気通信技術の進歩は誠にめざましいものがある。マイクロ波方式,同軸ケーブル方式による伝送路多重化,データ通信方式,電子交換機の実用化,宇宙空間の電気通信利用等の画期的な事柄が次から次へと開発実用化された。このような新技術の進歩は,電話の利用を一層便利なものとし,まさに電気通信は時間と距離を克服しつつある。そしてこの電気通信の分野は無限の可能性を秘めており,今後更にサービスの高度化・多様化は進展するものと思われ,またその前途は明るい。
 ひるがえって近年の電気通信政策についてみると,その課題は大きく分けて電話の需給均衡の早期実現と新たな電気通信技術の開発,実用化の促進にあった。
 毎年の電話の増設に対する巨額の設備投資は,他国に例をみない急テンポのものであったが,電話に対するし烈な需要には追いつけず,今日なお227万の積滞(47年度末)をかかえている実状にある。48年2月政府が決定した経済社会基本計画においては,52年度末には全国的規模においてこの積滞の解消を実現することを大きな柱として掲げていることをみても,この課題は依然として今後の通信政策の根幹となっているのである。
 他面,電気通信が経済社会において果たす役割の急速な増大に対処するため,電気通信技術の開発促進とその実用化に努め,また制度面その他についても積極的な施策を推進してきたが,特にデータ通信のために通信回線を利用する制度の発足は,電気通信政策に一つの転機をもたらしたものといえよう。
 今日,電気通信に対する社会的な要請はますます高度化,多様化,大量化し,来るべき情報化社会において中核的役割を担うものとしての期待が高まっている。したがって電気通信技術の開発,実用化の促進については,電話の需給均衡の早期実現と並んで,引き続き今後の大きな政策課題として意欲的な施策の展開が望まれているものである。

 

 

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