昭和48年版 通信白書

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2 有線電気通信

 有線電気通信法のもとでは,有線電気通信設備の設置は原則として自由であり,郵政大臣への届出だけで設置できることになっている(特定の場合には届出の義務も免除されている。)が,有線電気通信法は,公衆電気通信事業を電電公社及び国際電電に行わせる建前のもとに,一般の者が有線電気通信設備を [1]共同して設置し,[2]相互に接続し,[3]他人に使用させること,については公衆電気通信業務となるおそれがあるため,原則としてこれを禁止している。
 ただし,有線放送のような片方向通信,有線放送電話,公衆電気通信に附帯する通信,非常時における一時的通信,緊密な関係を有する者相互間の通信あるいは公共の利益のある場合の通信等の特殊なものについては,一定の条件のもとにこれを解除している。
 電電公社又は国際電電の設置する設備,有線放送電話業務用設備及び有線放送設備以外のいわゆる自営有線電気通信設備の設置数は,47年12月末現在で40万5,397台(端末機器)となっている。
(1) 利用分野
 自営有線電気通信の利用分野は広範に及ぶが,主要な分野は電気事業,鉄道,軌道その他の運輸事業,製造業等である。各分野における利用規模を端末機器の設置数において比較したものが第3-3-6図である。設置数の割合は[1]鉄道事業(64.5%),[2]電気事業(24.5%),[3]製造業(5.4%),[4]軌道事業(2.5%),[5]農林漁業(1.0%)の順に多く,このほか運輸事業(鉄道,軌道以外),鉱業,建設業,ガス・水道事業,サービス業,商業,警察,教育,医療等の分野における利用がある。
 第3-3-6図からわかるように,鉄道事業,電気事業の分野における利用は,端末機器26万1,421台,9万9,326台,線路こう長164万3,500km,15万8,700km(47年12月現在,以下この節において同じ。)とそれぞれ群を抜いている。鉄道及び電気の各分野における利用は,単に設置数において膨大であるばかりでなく,その営業区域を単位とした広域ネットワークを構成している点に特色がある。
 これらの事業のほか,鉄鋼,化学等の工場区画内あるいは本社・工場間等の各種通信を主とする製造業分野(端末機器2万1,799台,線路こう長1,171km),運行管理及び緊急連絡などの通信を主とする軌道事業(端末機器3,527台,線路こう長511km),農林漁業団体内での電話,営林署による国有林野管理用の電話等を主とする農林漁業分野(端末機器3,891台,線路こう長5,423km)での利用規模が比較的大きい。
 消防,航空,海上保安,防衛の各分野における通信は,おおむね無線又は電電公社の専用サービスによって行われ,自営有線電気通信の利用は少ない。
(2) 通信方式
 自営有線電気通信設備をその通信の方式別に分類し,端末機器の設置数において利用規模を比較すると,電話が95.4%で圧倒的に多く,以下テレメータ(1.5%),ファクシミリ(1.3%),テレコントロール(1.0%),データ伝送(0.4%),テレタイプ(0.3%)となっており,このほかインターホン,有線テレビジョン,テレビ電話等の利用がある。
 電話の設置数は,各事業分野において最高であり,磁石式,共電式,自動交換式,周波数選別方式,電力線搬送方式等設備方式が多様であるとともに機能的にも鉄道事業における運転指令,電気事業における給電指令のようないっせい指令方式のものがあるなど,各様の利用が行われている。
 テレメータ,ファクシミリ,テレコントロール,データ伝送及びテレタイプの利用のほとんどは鉄道事業と電気事業の分野で行われ,他の分野による利用は極めて小規模である。インターホンは構内等における通信に用いられるのがほとんどであり,構内等以外に用いられる場合についての届出件数は69件にすぎない。
 このほか,有線テレビジョンが警察その他の分野で,テレビ電話が製造業の分野で,それぞれ小規模に利用されている。
(3)設備の共同設置等
 設備の共同設置等郵政大臣の許可を要するものについての許可件数は,47年度末現在共同設置は7,687,相互接続は15,他人使用は292であるが,これらを通信目的別に分類すれば次のとおりとなる。
 まず,設備の共同設置については,電気事業に関連する通信を行うものが53%,鉄道事業に関連する通信を行うものが40%(うち国鉄が大半),その他のものが7%となっている。
 次に設備の相互接続については,鉄道事業に関連する通信を行うものが44%,電気事業に関連する通信を行うものが31%,その他のものが25%となっている。
 最後に,設備の他人使用については,警察・消防事務に関する通信が75%道路管理及び道路上の非常用通信が12%,鉄道輸送業務に関する通信が6%辺地通信が4%,その他が3%となっている。
 なお,許可を必要としない他人使用設備のうち,ひとり暮らし老人の保護のための通信設備(主としてインターホン)は,約2,400である。
第3-3-6図 自営有線電気通信の利用分野別構成(端末機器設置数の割合)(47年12月現在)

 

 

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