昭和48年版 通信白書

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第2節 データ通信システムの現況

1 データ通信システムの設置状況

(1) データ通信システムの区別
 データ通信システムは,電子計算機及び端末機器又は電気通信回線の設置形態の区別により次の三つの形態に分けられる。
 ア.電電公社が提供する電気通信回線に,民間企業等が自己の電子計算機及び端末機器を接続して構成しているデータ通信システム(以下「自営システム」という。)
 (注)電電公社が自営システムのために提供する電気通信回線には,[1]特定通信回線 [2]公衆通信回線の2種類がある。
 イ.電電公社が電気通信回線,電子計算機及び端末機器を設置し,データ通信サービスを提供しているデータ通信システム(以下「直営システム」という。)
 ウ.民間企業等が自ら設置する電気通信回線に,自己の電子計算機及び端末機器を接続して構成しているデータ通信システム(以下「私設システム」という。)
 なお,国際電電は,電電公社と同様に自営システムのために国際特定通信回線を提供しており,また,直営システムとして「国際オートメックスサービス」の提供を開始している。国際特定通信回線の利用状況は,本節で述べるとおりであり,以下の年度別設置状況等においては,国際特定通信回線システムは含まれていない。
(2) 年度別設置状況
 データ通信システムの39年度以降における年度別設置状況は,第3-4-1表のとおりであり,毎年度約50%以上の伸びを示し,47年度末で自営システム441,直営システム27,私設システム17の計485のシステムが設置されている。
 自営システムは,公衆電気通信法の改正に基づき,それまで専用回線に電子計算機を接続して構成していたシステムが,46年9月1日から特定通信回線システムに移行したものであり,移行時の236のシステムから1年後には441システムと急速な増加を示している。
 自営システムは,第3-4-2表のようにあらゆる業種にわたって利用されており,システム数からみても我が国のデータ通信システムの大宗をなしている。
 直営システムは,改正法の施行前は「試行サービス」として提供されていたシステムが,46年9月1日から,データ通信設備使用契約に係るサービスに移行したものであり,現在27システムが提供されている。
 私設システムは,有線電気通信法に基づき設置されるもので,民間企業等が電子計算機はもとより電気通信回線も自ら設置して構成するものである。したがって,電気通信回線の設置区間が遠距離にわたる場合は,その設置,維持に膨大な経費,要員を必要とするため,私設システムの設置主体は電力会社や国鉄,私鉄など自社の回線を設置しているような特殊な企業に限られている。
 自営システムにおける特定通信回線の回線規格別・年度別の利用状況は第3-4-3図に示すとおり,200b/s規格及び1,200b/s規格の利用が毎年逐次増加してきており,47年度末現在では1,200b/s回線(D-1規格を含む。)の利用が最も多く46.3%を占めている。
(3) 業種別システム設置状況
 データ通信システムの業種別設置状況は,政府,地方公共団体及び国立大学によるシステムが15.6%(7Gシステム),民間企業等(政府,地方公共団体及び国立大学以外)によるシステムが84.4%(409システム)となっている。45年度末では政府,地方公共団体及び国立大学のシステムが10.9%(22システム)にすぎなかったことからすると,その増加が著しいことがうかがわれる。
 民間企業等のシステムでは,製造業のシステムが毎年度着実に増加してきており,全システムの31.8%を占めているが,その割合は,他の業種の伸長のため,年々わずかずつではあるが低下している。金融機関は,47年度に相互銀行,信用金庫等においてデータ通信システムが相次いで導入されたため大幅な伸びを示し,全システムの25.6%を占めている。
(4) オンライン化の状況
 我が国における電子計算機の設置状況を年度別にみると,39年度末の1,455台から47年度末では約12倍の1万7,255台に達している。
 データ通信の普及状況を示す一つの指標であるオンライン化率(電子計算機の総設置台数に占めるオンラインシステムに使用されている電子計算機の割合)をみると,第4-4-5表のとおりであり,43年度の2.8%から各年度ともわずかながら上昇を示しており,47年度末では3.9%となっている。
 欧米各国のオンライン化率と比較してみると,フランスの2.5%,西独の2.3%(いずれも1970年末)よりは上回っているが,米国の16%(1970年末),英国の12%(1970年9月)よりも大幅に下回っている状況にある((財)電気通信総合研究所調査による。)。
(5) 国産機・外国機別設置状況
 電子計算機の国産機,外国機別の設置状況は,国産機61%(1万531台),外国機39%(6,724台)と国産機の設置台数が大幅に上回っている(47年度末現在)が,データ通信システムにおける国産機・外国機別のシステム設置状況をみると,第3-4-6表のとおり国産機によるシステムは53.2%(258システム)に対し,外国機によるシステムは46.8%(227システム)と国産機を利用したシステムが若干上回っている。しかしながら,これを自営システムについてみると国産機49.4%(218システム)対外国機50.6%(223システム)と両者の割合は逆転しており,更に政府,地方公共団体及び国立大学の利用を除いた民間企業等のシステムにおいては,39.5%(144システム)対60.5%(221システム)と外国機が優位を占めている。
 45年度以降は,わずかずつ国産機によるシステムがシェアを拡大しつつあるが,オンラインシステムに関し高度のハードウェア,ソフトウェア技術を有する外国機のデータ通信システムへの進出力は,なお根強いものがあるといえよう〈第3-4-7図参照)。  特に金融業は,電子計算機の設置状況においても2,023台のうち,83.2%(1,683台)と外国機の利用度が高く,データ通信システムにおいては,自営システムでは67.0%が外国機によるシステムであり,直営システムのうち金融業の15システムを加えても58.9%が外国機システムで占められている。
 また,証券・生保業は,22システムのうち17システム(77.3%)が外国機システムとなっている。
 国産機,外国機別の回線利用状況を自営システムについて比較してみると第3-4-8表のとおり1システム当たりの利用回線数は,国産機48.3回線,外国機32.8回線と国産機が上回っているが,国産機システムは50b/s規格(40.6%)及び1,200b/s規格(48.5%)が中心であるのに対し,外国機システムは200b/s規格(43.2%)及び1,200b/s規格(43.2%)がその中心を占めており,50b/s規格は9.0%にすぎないこと,高速データ伝送回線である2,400b/s規格は,259回線のうち83.8%(217回線)が外国機システムにおいて使用されていることなどの事例は,外国機システムの高速,大規模性を示すものといえよう。
 なお,45年度末の回線使用状況(自営システム)は,50b/s規格が5,053回線(国産機3,884回線,外国機1,169回線)と全回線の51.6%が使用されていたが,国産機,外国機のシステムとも,システムのレベルアップ等により使用数が減少しており,47年度末現在4,953回線,27.8%となっている。
第3-4-1表 データ通信システムの年度別設置状況(累計)
第3-4-2表 データ通信システムの業種別設置状況
第3-4-3図 特定通信回線の回線規格別・年度別利用状況(自営システム)
第3-4-4表 年度別電子計算機設置状況(累計)
第3-4-5表 年度別オンライン化率(各年度末)
第3-4-6表 国産機・外国機別のデータ通信システム設置状況(47年度末現在)
第3-4-7図 国産機・外国機別のデータ通信システム数の推移(自営システム)
第3-4-8表 自営システムにおける国産機・外国機別回線利用状況(47年度末現在)

 

 

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