昭和48年版 通信白書

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2 有線テレビジョン放送

(1) 業 務
 有線テレビジョン放送は,昭和30年テレビジョン放送の共同受信施設として群馬県伊香保温泉に初めて設置され,以後急速に普及し,単に辺地における難視聴対策用としてのみでなく,新しい情報媒体としての利用の可能性が注目されるようになった。このような情勢をふまえて有線テレビジョン放送法が制定され,48年1月1日から施行された。この法律の施行により,大規模な有線テレビジョン放送施設の設置については郵政大臣の許可を必要とすることとなった。
 有線テレビジョン放送施設(引込端子が51以上のものに限る。)の都道府県別の施設数は,第3-5-25表のとおりである。なお,このほかに電電公社の回線を利用して有線テレビジョン放送業務を行っているものが,東京都と千葉県にそれぞれ1システムずつある。
 有線テレビジョン放送業務の内容を分類すると,次のとおりとなる。

                     ┌―区域内再放送
                     |
               ┌―再放送―┤
               │     │
  有線テレビジョン放送業務―┤     └-区域外再放送
               |
               └―自主放送

 区域内再送信とは,当該有線テレビジョン放送施設のある地域を放送エリアとしているテレビジョン放送事業者の番組を受信して,有線テレビジョン放送施設により再送信するもので,山や建物などによって放送波がさえぎられてテレビジョン放送の受信が困難な場合にその対策として行われる。区域内再送信を行う施設は,有線テレビジョン放送施設全施設のうちの圧倒的多数を占めているが,ほとんど小規模のものである。
 区域外再送信は,当該有線テレビジョン放送施設のある地域を放送エリアとしていない,遠方のテレビジョン放送事業者の番組を再送信するもので,テレビジョン放送の受信チャンネル数を多くすることを目的としている。したがって,地元のチャンネル数が少なく,かつ,チャンネルの多い地域に隣接した地域,すなわち,長野県,山梨県,静岡県,徳島県,佐賀県等に多くみられる。
 区域外再送信が行われる場合は,ほとんどの場合,区域内再送信も併せて行われている。
 自主放送は,自ら番組を制作して有線放送するもので,47年度末現在19施設において行われている。なお,これらの19施設は,そのほとんどのものが自主放送を区域内再送信又は区域外再送信と併せて行っているものである。自主放送の放送時間は,長いものでも1日3回30分程度であり,短いものでは週1回30分となっている。自主放送の番組の内容は地方公共団体や農業協同組合からのお知らせ,地域のニュースなどである。
(2) 運用主体
 有線テレビジョン放送の運用主体は,ほとんどがその有線テレビジョン放送の受信者によって構成された法人格のない社団である。これらの社団のうち,その約30%にあたる団体は,NHKと共同で施設を設置し運用している。
 法人格のない受信者団体以外の運用主体としては個人,地方公共団体,住宅公団等の特殊法人,公益法人,農業協同組合等の協同組合,営利法人があるが,これらの者の運用する有線テレビジョン放送施設の数は,合わせても200に満たない。
 これらのうち,地方公共団体及び住宅公団等の特殊法人が設置するものは,そのほとんどが自らの建てた建物がテレビジョン放送の受信障害を起こしたために,その受信障害の解消を目的として設置したものである。

第3-5-25表 都道府県別有線テレビジョン放送施設数(47年度末現在)

 

 

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