昭和48年版 通信白書

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第8章 国際機関及び国際協力

第1節 国際機関

 1 概   況

 通信はその本来的性質からいって世界的なものであり,世界を通信で結ぶためには,まず第一に,国際間に統一された合意を必要とする。そのため,郵便及び電気通信の基本的な国際機関である万国郵便連合(UPU)や国際電気通信連合(ITU)は,他の国際機関に先がけて早くから設立され,既に100年に及ぶ歴史を有し,また加盟国数においても140か国を超す大きな組織となっている。
 UPUは,郵便料金の均一化と郵便物継越しの自由の保障によって,国際間の郵便交換をあたかも国内郵便のように自由かつ円滑に行うことにその活動の重点を置いてきた。
 しかし,1960年代に入って以来加盟国中に開発途上国が増加し,それらの諸国の郵便業務の改善の要望が強くなったことに伴い,UPUは1963年以来国連の開発計画(UNDP)に参加することとなった。それ以来技術協力の分野におけるUPUの活動は急速な進展を見せ,1963年のUNDPにおけるUPU計画は10万ドルであったが,1972年にはその額は100万ドルを超え,ますますこの分野の活動を活発化している。
 一方電気通信においては,1837年電信技術が発明されて以来,技術の進歩とともに目ざましく発展した。とりわけ宇宙通信技術が導入されてからの電気通信の発展は目ざましい。ITUは早くから宇宙通信の問題に取り組み,宇宙通信の実用化への道を開いた。国際間衛星通信の実用化のための組織であるインテルサットも設立後10年になろうとしている。国際衛星通信の実用化によってテレビジョン放送番組の国際伝送や世界各国間のダイヤル呼び出しも可能となった。1971年の世界無線通信主管庁会議は,特に宇宙通信の問題を議題として開かれ,宇宙通信の分野に更に大きな可能性を開き,宇宙通信の発展に一つのエポックを画している。この会議によって,これまでの衛星通信も拡充されることとなり,また,船舶や航空機との衛星通信,衛星からの放送等多種多様な衛星の利用の道が開かれ,これら衛星の実現を目ざす動きが国際的ににわかに激しくなってきた。
 一方国連の宇宙空間平和利用委員会では,衛星からの直接テレビジョン放送のもたらす影響の重大性に着目し,放送衛星の制度的側面への国際的規律について検討している。
 このように宇宙通信をめぐる諸問題が今後の電気通信の大きな課題となっており,しかもそれは国際的な場で解決のための審議が行われることとなっている。

 

 

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