昭和51年版 通信白書

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2 通信関連産業の動向

(1) 通信機械工業
 50年度の通信機器の受注実績額は,6,218億円で前年度に比べ4.5%の増加となった。内訳では無線通信装置が1,323億円で対前年度比19.6%増と順調な伸びを示したが,有線通信機器は,4,895億円で1.0%の増加にとどまった。このうち電子交換機が対前年度比35.9%増,ファクシミリ21.2%増,搬送装置のうち広帯域端局装置が23.1%増となっている。これは通信網の高度化とサービスの多様化を示すものといえよう。
 需要部門別では官公需3,523億円(対前年度比1.6%減),民需1,400億円(同5.8%減),外需1,295億円(同46.4%増)となった。外需の伸びが著しいが,受注実績額の約半分を占める電電公社の需要が横ばいである上に民需の低落が加わり,通信機械工業は前年度に引き続き低迷した。
(2) 電線工業
 50年度の電線の受注実績は,6,797億円と前年度に比べ5.5%減となり,前年度に引き続き減少した。このうち銅電線は6,257億円で6.7%の減,アルミ電線は539億円で11.7%の増であった。銅電線の品種別では通信ケーブルが1,664億円で0.1%の減少となっている。
 需要部門別では官公需が1,528億円(対前年度比0.6%減),民需が4,524億円(同10.4%減)と伸び悩んだが,外需は745億円(同24.1%増)と伸びている。官公需のうち電電公社からの受注は1,458億円で前年度に比べ2.5%の増加であった。
(3) 電気通信工事業
ア.電信電話工事業
 50年度における電電公社からの受注契約額は4,395億円で前年度に比べ12.7%の増加となった。そのうち3,785億円が通信線路工事,610億円が通信機械工事(伝送無線工事を含む。)である。
イ.PBX工事業
 自営PBX工事業界で組織している社団法人全国電話設備協会の会員数は50年度末1,122に達している。自営の電気通信設備の設置,保守には公衆電気通信工事担任者の資格が必要であり,自営PBX関係の資格取得者数は50年度末で約2万8千名となっている。
(4) 電子計算機製造業
 50年の電子計算機生産額は本体で2,598億円,附属装置を含めると4,980億円となり,前年に比べ7.3%の減となった。輸出額は258億円で21.1%の増加となっている。
 50年度末における我が国の実働汎用電子計算機は35,305台,2兆2,583億円に達しており,そのうち国産機のシェアは台数で63.6%,金額で56.9%となっている。
(5) 情報通信事業
ア.データ通信
(ア) 電電公社
 電電公社によって提供されているデータ通信サービスには,販売在庫管理システムサービス,科学技術計算システムサービス及び各種システムサービスがある。各々のサービスのユーザ数,端末数は第1-1-18表のとおりである。
 全国的な需要に対応するため,50年度新たに福島等の都市で販売在庫管理システムサービスが,姫路等において科学技術計算システムサービスが開始された。
 各種データ通信サービスにおいては,50年度新たに現金自動支払システム等のサービスが開始された。
(イ) 国際電電
 国際電電の提供するデータ通信サービスには,国際オートメックスサービスがある。これは同一ユーザ間のメッセージスイッチングを行うサービスであり,50年度末ユーザ数は12,端末数は133である。
(ウ) 民間企業
 情報通信事業を行っている民間企業の数は,郵政省の調査によれば50年12月末で,39社となっており,前年に比べ4社増加した。上記39社のシステム数は53であり,サービスの内容は事務計算が最も多く,次に技術計算,情報提供等となっている。
イ.そ  の  他
 電話回線に録音再生装置を接続することにより情報を提供し,併せてスポンサーのPRを行うテレホンサービス会社は,広告,情報の新たな担い手として急成長を遂げてきた。サービス内容は一般ニュースから娯楽情報,暮しに役立つ情報と多岐にわたっている。
 なお,電気通信を利用した新たな情報通信事業として[1]電光掲示板を駅前等に設置し,センタから専用線を通してコマーシャル,ニュース等を伝送するサービスを提供する企業,[2]テレビジョンの視聴率調査のため公衆電気通信網を利用して標本世帯から視聴時間,チャンネル等のデータを収集する企業が登場している。

第1-1-17表 通信機器受注実績額

第1-1-18表 データ通信サービスの利用状況
 

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