昭和51年版 通信白書

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2 集配施設

(1) 取集サービス
 ポストの設置数は,50年度末で13万5,622本となっているが,同年度中に大都市やその近郊など,地況の発展の著しいところを中心に,351本増設した。その普及状況は第2-1-15表のとおりであり,諸外国のそれと比較しておおむね同程度となっている(第2-1-16表参照)。
 一方,都市内に設置されているポストについては,最近の交通規制の強化・交通難の激化に伴い,取集作業時間の延伸を来し,あるいはポストの移転等を必要とするものが増加しているなど,取集作業が困難になってきている。
 ポストからの取集度数は,郵便物の多少により1日1度から5度までの間で設定しているが,前述の状況により取集便から運送便への接続が不安定になっていること,また,差出状況に対応した取集便とすることなど,取集便を再編成し,安定的かつ効果的な取集サービスを確保するよう検討する必要がある。
(2) 配達サービス
ア.配達度数
 配達区(1日,1人が配達を分担する区画)は,50年度末現在4万9,443区であり,同年度中に,発展する大都市及びその周辺を中心に総体で554区増加した。なお,過疎過密化現象の進行に即して,周辺地の配達区を併合するなどして再編成し,それによって減じた区を過密区に増区する努力も引き続き行っている。
 また,50年度末現在の配達度数別の配達区画の現状は,第2-1-17表のとおり2度以上の配達が約半数を占めている。諸外国における2度配達区域は,おおむねビジネス地域等ごく限られた地域となっており,しかも配達度数は次第に減回される傾向にある。我が国においても,配達度数については,労働力の効率的活用を図り,経済的な業務運行を維持する観点から今後検討を進めるべき大きな課題となっている。
イ.速達配達
 速達配達区域は,郵便局から陸路4km以内の地域及び4kmを超え8kmまでにあり,かつ,速達郵便の配達物数の多い地域とされている。50年5月現在では全国の世帯数の91%に相当する3千万世帯が速達配達区域内となっている。
ウ.辺地集配
 郵便の集配サービスについては,辺地に至るまで原則として毎日各戸配達のサービスを提供しているが,交通が困難な地域等については,郵便規則第85条を適用して,年間を通じ,又は期間を限って郵便局の窓口において交付し,あるいは郵便局長の指定する場所に設置された集合郵便受箱,又は,受取人が配達区域内に指定した受取場所に配達する方法を採っている。これらの方法により,郵便物が交付又は配達される世帯は約1万1千世帯である。また,上記に準ずる地域についても,実情に応じて集配度数を減回し1日おきに配達するなどの方法を採っている。
(3) 集配作業環境の改善
 集配作業を円滑に行うには,その作業環境の与える影響は大きい。特に都市部においては高層ビルディングの増加,交通規制,交通難の激化,急速な都市化に伴う地番の混乱等により,次第に集配作業環境は悪化している。したがって,円滑な集配サービスを提供するには郵政省の経営努力とともに,利用者の協力を得て作業環境の改善を図る必要がますます大きくなっている。これまでの施策の状況は次のとおりである。
ア.高層ビルディング配達
 都市において,大型化・高層化が進む建築物に対する配達作業を効率的にするため,36年の郵便法及び郵便規則の改正により,3階以上のエレベーターのない建築物については,郵便受箱の設置を郵便の配達を受けるための条件とした。一方,エレベーターのある建築物についても,集合受箱の設置,一括配達の勧奨を推進し,43年7月からは勧奨の効果を高めるため協力者に謝礼金を交付している。
 しかし,50年度末現在,上記エレベーターのある建築物のうち全棟数の2.4%に当たる約700棟(配達箇所約2万6千箇所)に集合受箱が設置されておらず,また,高層ビルディングが今後毎年増加していくことが予想されることから,今後とも上記施策を強力に進めていく必要がある。
イ.郵便受箱の設置
 配達郵便物の安全保護及び配達作業の能率化を図るため,従来から全戸に郵便受箱を設置するよう協力を求めてきたが,50年度末現在で全配達箇所数約3,010万箇所のうちの約80%に当たる約2,398万箇所の設置協力が得られた。しかし,なお多数の未設置箇所があることから,今後とも引き続き強力に勧奨を進めていく必要がある。このほか,二階建建築物についても配達作業が難渋している実情もあり今後検討すべき課題となっている。
ウ.住居表示
 地番等の混乱による作業難を解消するため,37年5月「住居表示に関する法律」が施行されて以来,今日まで,郵政省は関係機関と協力して新住居表示の実施促進を図るとともに,住居表示制度実施地域に対して,住居番号表示板を寄贈するなどのバック・アップをしてきたところである。しかし,50年9月末の進ちょく率は地方自治体の実施計画数1,571万世帯に対して,実施済世帯数は1,084万世帯で実施率69%(全世帯に対しては32%)にすぎず,かつ,最近は実施率が伸び悩んでいる。実施困難な理由の一つに,地方自治体の財政事情があると思われ,郵政省では46年度から簡易保険積立金による短期融資の途を開いている。
(4) 郵便集配用機動車
 外務員の労力の軽減と作業の能率化のため,集配作業に軽四輪車,自動二輪車の導入を進めてきたが,50年度末現在で全国の配備両数は軽四輪車が3,552両,自動二輪車が4万7,369両,計5万921両となっている。これら機動車の配備状況は第2-1-18表のとおりである。
 なお,最近における道路交通事情の悪化等から郵便外務員の交通事故の発生は,50年度では4,842件にも上っているので,外務員に対し安全運転意識を徹底させるとともに,運転技術の向上を図り,交通事故を防止するため,安全運転技術講習会等の各種講習会,車両の点検整備の強化等交通事故防止対策に力を入れている(第2-1-19表参照)。
(5) 集配作業の外部委託
ア.取集関係
 大都市を中心に,中都市以上に所在する郵便局の取集作業の効率化を図るため,50年度末で全国の集配普通郵便局1,062局のうち233局において郵便専用自動車による郵便物の取集作業を運送業者に委託している。
イ.小包配達関係
 都市における労働力の確保難に対処するため,45年から小包配達の外部委託を試行してきたが,50年度末現在180局で行っている。
ウ.辺地・離島の集配関係
 辺地・離島においては,取扱物数がきん少であり,地況・交通事情等の関係で職員が郵便局から直接集配することが困難な場合があるので集配作業を外部に委託している。これらの委託区は,50年度末で1,530区となっている。

第2-1-15表 郵便ポスト普及状況

第2-1-16表 国別郵便ポスト普及状況(1973年度)

第2-1-17表 郵便配達区画の状況

第2-1-18表 郵便集配作業用機動車の配備状況

第2-1-19表 郵便外務員の交通事故件数
 

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