昭和51年版 通信白書

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6 郵便事業財政

(1) 郵便料金の改定
 最近における郵便事業の収支状況は,第2-1-24表のとおりである。
 郵便事業財政は,48年度まで料金改定のほか,各種の制度改正,機械化作業の効率化等企業努力により,かろうじてその収支均衡が図られてきたが,人件費の急激な上昇などによって,49年度以降巨額の赤字が累積される見通しとなった。
 このため,48年10月郵政審議会に対し,「郵便事業の健全な経営を維持する方策」を諮問し,同年12月「郵便事業収支の改善をはかるためには,この際,郵便料金を改正することが適当である。」との答申を得た。
 この答申では,「さしむき,今後3年間の収支を相償うことを目途とし,通常郵便物の料金は,昭和49年7月1日から,小包郵便物の料金は同年4月1日から実施するものとし,3ヵ年間を通算し,総体で約40%の収入増加が期待されるもの」として,49年度から51年度までの収支均衡が確保される料金改定案が答申された。
 しかし,折からのいわゆる石油危機に端を発した異常な経済情勢の中において,49年10月に実施された小包料金の改定を除き,その他の郵便料金改定は見送られた。
 このため,49年度予算は当初から696億円の赤字となったが,その後の給与改善が第2-1-25表のとおり約30%にも及ぶ大幅なものであったため,49年度における赤字は約1,400億円にのぼる見込みとなり,このまま推移すると,今後の郵便事業収支の格差は更に増大し,事業の円滑な運行を確保することは困難と判断された。
 このようにひっ迫した事業収支の改善を図るため,49年11月郵政審議会に「郵便料金を改正すること」について再度諮問し,同年12月,「てがみ50円,はがき30円とすること。50年4月から料金改正を実施すること。」を骨子とする答申をうけた。しかしながら,当時の物価安定についての配慮から,その実施時期を50年10月に延期するとともに,はがきについてはこれを20円とする「郵便法の一部を改正する法律案」が第七十五回通常国会に提出されたが審議未了となった。この法律案は施行期日を変更し第七十六回臨時国会に提出され,同年12月22日成立し,51年1月25日から施行された。
(2) 郵便事業財政の現状
 前述の料金改定の経過の中で事業収支は,49年度は収入約4,183億円に対し,支出約5,430億円で,約1,247億円の赤字となり,50年度は当初予算では10月1日に料金改定を実施するものとして約601億円の収入不足が見込まれたが,11月1日に改定実施時期が延期される見込みとした同補正予算ではこれが約964億円と見込まれた。しかしながら,料金改定の実施時期がなお51年1月25日となったことに伴い,収入不足は更に増加し,業務運営費財源借入金は過年度のものも含めて約2,475億円の巨額に達した。
 また,51年度についてみると51年1月25日の郵便料金の改定に伴う増収により,当該年度の事業収支は一応その均衡を図ることができることとなっているものの,過年度の赤字借入金を減少するまでには至っていない。
 なお,郵便物数,郵便業務収入及び郵便業務費の推移は第2-1-26図のとおりである。

第2-1-24表 郵便事業の収支状況

第2-1-25表 郵政事業の人件費上昇率及び給与ベースの推移

第2-1-26図 年度別郵便物数,郵便業務収入及び郵便業務費の推移
 

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