昭和51年版 通信白書

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第3節 国際公衆電気通信の現状

1 国際通信回線の現状

 国際電電は,28年に設立されて以来,国際電気通信需要の増大・多様化に対処して国際電気通信施設の拡充,強化を推進して来た結果,国際通信回線は逐年増加し,50年度末において国際電電が運用している対外直通回線は総計2,401回線に達している(附属資料第14表参照)。
 これを回線種別別,対地別にみると,それぞれ第2-2-37表及び第2-2-38表に示すとおりである。
 我が国の国際通信回線は,かつては短波(HF)回線が主体となっており,例えば38年当時には239回線(総回線数の約82%を占める。)の短波回線が運用されていたが,39年6月の太平洋横断ケーブル開通,42年1月の衛星通信の開始等により,短波回線はこれらの安定した高品質の広帯域回線にとって代わられ,現在では海底ケーブル,衛星及び対流圏散乱波方式による広帯域通信回線が総回線数の約98%を占める状態となっている。
(1) 海底ケーブル
 国際電電は39年6月,アメリカ電話電信会社(AT&T)及びハワイ電話会社(HTC)との共同出資で太平洋横断ケーブル(TPC)を敷設した。TPCの開通により,ほとんど全て短波回線に頼っていた我が国の国際通信は初めて広帯域回線を持つこととなった。TPCは電話換算138回線をもつ海底同軸ケーブルで,現在でも最も重要な国際通信幹線の一つとなっている。
 44年7月には,国際電電と大北電信会社(デンマーク国)との共同建設により日本海ケーブル(JASC)が完成した。JASCは,シベリア経由で我が国と欧州を結ぶ重要な国際通信幹線となっている。
 また,51年1月,国際電電は,米国のAT&T,HTC,ITTワールド通信会社,RCAグローバル通信会社及びウェスタン・ユニオン・インターナショナル社並びにオーストラリアの海外電気通信コミッション(OTC)との共同出資で敷設した第二太平洋横断ケーブル(TPCII)の運用を開始した。
 この他,49年から50年にかけて,日本・中国間ケーブル及び沖縄・ルソン・香港間ケーブル(OLUHO)を建設するための基本的な協定が外国の関係通信事業者との間に締結され,建設に着手しているが,これらを含めた我が国の国際海底ケーブルの概要は第2-2-39表のとおりである。
(2) 通信衛星
 インテルサットの世界通信システムは,50年度末現在,<4>号系衛星(電話換算4,000回線又はテレビ12回線の容量をもつ。)を太平洋及びインド洋上に計4個,更に,,4>-A号系衛星(電話換算6,000回線又はテレビ20回線の容量をもつ。)を大西洋上に1個設定,運用し,世界の通信のかなめとなっている。
 また,インテルサット衛星を利用する各国の衛星通信所(地球局)の増加も著しく,50年度末でその数は73か国(地域を含む。),109局(アンテナ数137)に達している。
 我が国では国際電電が茨城衛星通信所(高萩市)と太平洋上インテルサット衛星を通じて米国,カナダ,メキシコ,オーストラリア,ニュー・ジーランド,中国,香港,フィリピン,タイ等11か国(地域を含む。)との間に通信回線(50年度末現在805回線)を設定しており,また,山口衛星通信所はインド洋上インテルサット衛星を通じて50年度末現在で752回線の通信回線を設定している。
(3) 対流圏散乱波通信(日韓OH回線)
 我が国と韓国との間の国際通信は,現在主として対流圏散乱波通信回線(43年6月開通)によっている。
 日本側の中継所は浜田市に,韓国側の中継所は舞竜山(蔚山の北東10km)にある。最近における通信量の増大に対応するため,48年以来回線を倍増する計画を進めた結果,現在の容量は4kHz電話換算251回線となった。
(4) 短波無線
 短波無線設備としては,小山送信所(栃木県),小室受信所(埼玉県),北浦受信所(茨城県),上野送信所(三重県)及び小野受信所(兵庫県)がある。北浦受信所,上野送信所及び小野受信所は遠隔制御により運用されている。
 現在,短波回線数は対外直通回線全体の1%を占めるにすぎなくなっており,今後の短波回線の国際公衆電気通信面における利用は,広帯域回線のない対地との通信,広帯域回線に障害が起きた時のバックアップ回線及び船舶通信などに限定されてゆくものと思われる。

第2-2-37表 対外直通回線の現況(50年度末現在)

第2-2-38表 対外直通回線のある通信対地(昭和50年度末)

第2-2-39表 我が国の国際海底ケーブル
 

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