昭和51年版 通信白書

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第4節 事業経営状況

1 国内公衆電気通信事業

(1) 電電公社関係
 49年度に1,753億円の赤字を出した電電公社の経営収支は50年度においては更に悪化し,49年度を大幅に上回る赤字を計上するに至った。すなわち,電電公社は50年度末現在で,職員数32万名,総機関数2,391,資産総額6兆4,277億円を擁する巨大事業体として,50年度中は建設投資額1兆4,181億円,事業収入2兆784億円の規模で事業を遂行したのであるが,50年度当初からの電信電話料金改定が,物価抑制の見地から見送られたために2,812億円の赤字を計上し,49,50両年度の赤字合計額は4,565億円となった。
ア.収支状況
 50年度の電電公社の決算については総収入は2兆1,103億円,総支出は2兆3,915億円となり,2,812億円の赤字決算となった。
(ア) 事業収入
 50年度の事業収入は2兆784億円となり,予算対比で423億円2%の減収,対前年度比では12.4%の伸びにとどまった。これは,事務用電話に比べ単位当たり収入が低い住宅用電話の増加と景気の低迷の影響等によるものと考えられる。
 内訳について概観すると,まず事業収入の90%を占める電話収入は1兆8,712億円で予算に対し310億円の減収,対前年度比12.1%の増にとどまり,1加入者当たりの電話収入は49年度の5万5,735円から5万6,399円へと若干の伸びを見せた。公衆電話料は905億円で対前年度比11.0%増となり,1公衆電話当たり収入は13万8,135円と対前年度比4.1%増となった。
 電信収入は398億円,対前年度比4.1%の増となり,専用収入は1,087億円,(うち,データ通信590億円,対前年度比28.9%)対前年度比20.4%の増となった。雑収入は587億円であった。
(イ) 事業支出
 50年度の事業支出は14.84%(定昇込み)のベース・アップと利子負担等の増大により対前年度比16.5%の伸びとなった。
 各費目の構成比は,直接事業費48.7%(うち人件費34.7%),資本費用45.4%(うち減価償却費31.9%),業務委託費4.6%,諸税公課1.3%となっている。直接事業費は,近年の高いベースアップ率が主因となって毎年大幅な増加(46/45 16.6%,47/46 16.0%,48/47 18.1%,49/48 29.7%,50/49 17.7%)を続けている。資本費用のうち,減価償却費は,対前年度比15.7%増加して7,500億円,金融費用(利子及び債券取扱費と債券発行差損償却費)は,対前年度比20.9%増加して3,162億円となった。
 事業収支率については50年度は113.0%となった。
イ.資産及び負債・資本の概況
 電電公社の50年度決算における貸借対照表の概要は第2-2-48表のとおりであり,固定資産額は5兆8,409億円(うち純有形固定資産額は5兆7,770億円),固定負債は4兆6,687億円(うち電信電話債券が4兆2,631億円),また,赤字の結果,資本勘定は1,159億円減少し1兆5,189億円となった。
 固定資産合計の推移は第2-2-49表のとおりであり,内訳としては電気通信機械施設及び電気通信線路施設が全体の75.3%,建物及び工作物が12.5%,その他が12.2%である。
 負債の推移は第2-2-50表のとおりであり,電信電話債券が総額の86.8%と圧倒的比重をしめている。
 総資本に占める固定資産及び負債の構成比の推移は第2-2-51表のとおりであり,負漬の構成比がかなり高まってきている。
(2) 有線放送電話事業
ア.事業収支状況
 事業年度が50年12月から51年3月までの間に終了した施設の収入総額は250億円で,1施設当たり2,072万円である。これは49年度の収入総額260億円に比べ3.7%の減,1施設当たりでは7.0%の増となっている。
 50年度の収入のうち,利用料は収入総額の67.4%を占めており,1施設当たり1,397万円(49年度1,236万円),1利用者当たり7,626円(49年度6,933円)である。利用料のほかの収入は,接続手数料5.6%,放送料2.7%,雑収入7.9%,運営補助金3.1%,繰入金13.2%となっている。
 支出については,総額256億円で,1施設当たり2,114万円である。これは49年度の支出総額264億円に比べ3.3%の減,1施設当たりでは7.4%の増となっている。
 50年度の支出のうち,人件費は最も多く55.5%,物件費21.9%,減価償却費14.3%,支払利息5.7%等となっている。
イ.規模別事業収支状況
 有線放送電話は,農山漁村地域における通信メディアであるので地域社会の状況を反映して経営規模が小さい。有線放送電話の経営にも,一般的にいって規模の利益が働くと考えられるが,端末設備数が2,000以上の規模のものとそれ以下のものとに区別して比較した場合,規模の大きい方が経営効率が良い傾向にある(第2-2-54表参照)。

第2-2-47表 電電公社の事業収支率

第2-2-48表 電電公社の貸借対照表(51年3月31日現在)

第2-2-49表 電電公社の固定資産の推移

第2-2-50表 電電公社の負債の推移

第2-2-51表 電電公社の総資本における固定資産・負債の構成比の推移

第2-2-52表 電電公社の事業収入の推移

第2-2-53表 電電公社の事業支出の推移

第2-2-54表 有線放送電話の規模別事業収支状況
 

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