昭和51年版 通信白書

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第4章 データ通信

第1節 概   況

 電子計算機等を電気通信回線に接続してデータの伝送と処理とを一体的に行うデータ通信は,ここ数年来順調な発展を遂げてきたが,50年度においても総体としては従来とほぼ同様の発展を示した。ただし,48年度後半以降引き続いた長期的な不況の影響は,データ通信の分野においても免れ得ず,情報通信サービスのユーザ数の伸び率の鈍化等に見られている。
 データ通信回線の利用状況を見ると,国内データ通信回線は例年と同様に約40%の増加を示し,特定通信回線にあっては規格別の構成比から見ればD-1,D-5及びA-1規格が増加しており、対前年度伸び率から見ればI-3規格の増加が顕著である。また,公衆通信回線にあっては電話型回線の占める割合が更に増加し60%に達した。国際データ通信回線は,公衆通信回線の利用が始まったものの,全体の回線数としては前年度と同様にほぼ横ばいにとどまった。しかし,特定通信回線の利用面において音声級回線の高速利用への移行が大幅に行われたので,伝送可能情報量は飛躍的に増加した。
 電子計算機台数ベースのオンライン化率は,毎年わずかずつ向上してきたが,50年度末現在においては5.3%となった。
 国内データ通信システムについては,システム数の対前年度比は毎年度150%以上を示してきたが,50年度においては景気動向を反映し,127%と最低値を示した。50年度末における設置システム数は1,479システムである。このうち自営システムは1,429システムであって,対象業務別に見ると生産・在庫・販売管理システム及び金融システムがその大半を占めており,また,設置業種別に見ると製造業・建設業,金融業・商業及び地方公共団体が全体の約80%を占めている。
 国際データ通信システムは,50年度末現在42システムが設置されている。対象業務別には約75%がメッセージ・スイッチングシステムであり,設置業種別には製造業,商業及び運輸業が多く,全体の約75%を占めている。
 情報通信事業は,電電公社,国際電電及び民間企業により営まれている。電電公社のサービスについては,公衆データ通信サービスのユーザ数及び端末数は共に増加したものの,その増加数はいずれも前年度を下回った。国際電電のサービスは大きな変化が見られない。民間企業による情報通信サービスとしては,約40社が販売・在庫管理業務,証券取引業務,銀行業務,科学技術計算業務等多彩なサービスを提供しているが,このうち約10社は親会社のみにサービス提供をしているものである。
 データ通信の利用制度の面では,電電公社の提供する特定通信回線の料金について50年7月に専用線と同様の改正が行われた。51年3月には,電電公社の48キロビット/秒交換網サービスの提供が開始された。このサービスにより,従量料金制により高速度のデータ伝送が可能となった。
 データ通信の利用形態では,データ通信システム相互を接続して電子計算機の処理能力やデータベースを効率的に共同利用する形態が旅行業界や系列企業間では実現するとともに,いわゆるコンピュータ・ネットワークの実用化として検討された。コンピュータ・ネットワークの実現と活用のためには,通信回線の利用制度の改善整備も大きな要件となるので,データ通信回線利用上の制限緩和や新しいデータ通信網サービスの提供等について検討が重ねられた。
 データ通信に関連するその他の動向としては,自由化の問題がある。50年12月のハードウェア産業等の資本及び輸入の完全自由化に引き続き,51年4月にはソフトウェア産業等の資本の完全自由化が実施された。
 電子計算機処理に係るプライバシー保護あるいはデータ保護に関しては,引き続き各方面で鋭意検討が進められている。また,51年1月には行政機関におけるデータ保護対策のための管理運営上の措置として,事務次官等会議申し合わせが行われ,「電子計算機処理データ保護管理準則」が定められた。
 51年3月に,情報処理振興事業協会等に関する法律に基づき,電子計算機利用高度化計画(目標年次=55年度)が定められ,その要旨が告示された。
 

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