昭和51年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

2 実験用通信衛星・放送衛星の開発

 我が国の将来の通信量の増大及び通信の多様化に対処するとともに,災害時において必要とする通信系を確保するために,地上通信システムに衛星通信システムを加えて対処してゆく必要があると考えられる。また,放送の面においても教育,難視聴対策等のために,衛星放送システムの導入が必要であると考えられる。
 郵政省はこのような情勢に対応し,実用の通信衛星・放送衛星の導入のため必要な衛星実用計画の策定,技術基準の設定等に必要な各種データを得るために48年度から実験用中容量静止通信衛星(CS)及び実験用中型放送衛星(BS)の開発研究を開始し,その開発研究の成果を同年11月宇宙開発事業団に引き継いだ。
 以後の開発は事業団により進められ,51年度においては衛星本体の開発費として約120億円の予算が成立し,両衛星の製作及び試験はすべて51年度末までに完了する予定である。
 ミッション機器については,48年に電電公社にCSのエンジニアリングモデルの設計及び製作を,NHKにBSのエンジニアリングモデルの設計及び一部機器の製作を委託し開発を進め,49年度にその開発の成果を宇宙開発事業団に引き継いだ。同事業団はこれらのミッション機器を衛星本体と組み合わせて総合的試験を行い,プロトフライトモデル及びフライトモデルの製作を行うべく作業を進めた。
 打上げ後の各種実験に必要な地上施設のうち,その中枢となるCSの主固定局兼運用管制局及びBSの主送受信局兼運用管制局については電波研究所鹿島支所に設置することとして建設を進めていたが,51年度には約11億円の予算が成立し,51年度中に大部分の建設を完了する予定である。
 また郵政省においては,更に将来予想される通信需要に対処できるようミリ波帯における衛星通信技術を開発するため実験用静止通信衛星(ECS)計画を推進し,その一環として,ミッション機器の基本設計及びミリ波中継器のエンジニアリングモデルの製作を行い,また電電公社の協力を得てマイクロ波中継器のエンジニアリングモデルの設計及び製作を行ってきた。
 一方,宇宙開発事業団においても46年度以来衛星本体の開発を進め,51年度においては衛星本体の開発費として約32億円の予算が成立し,プロトフライトモデル及びフライトモデルの製作に入った。
 ECSに関する地上施設については,主固定局兼運用管制局を電波研究所鹿島支所に設置することとし,51年度は約6億6千万円の予算が成立し建設を進めている。
 CS,BS及びECSの諸元は第2-7-1表のとおりである。

第2-7-1表 CS,BS,ECSの諸元
 

第2部第7章第2節1 宇宙通信の現状 に戻る 3 電離層観測衛星の開発 に進む