昭和51年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

2 万国郵便連合(UPU)

(1) 概   要
 万国郵便連合(加盟国153)は,創設以来百年有余の歴史を有する国際連合の専門機関の一つで,郵便業務の効果的運営によって諸国民間の通信連絡を増進し,かつ,文化,社会及び経済の分野における国際協力の発展に寄与することを目的とする政府間国際機関である。
 我が国は,1877年に加盟しており,現在,連合の常設機関である執行理事会及び郵便研究諮問理事会の理事国として連合の活動において中心的かつ指導的な役割を果たしてきている。
 連合の最高意思決定機関としては,原則として5年に1回開催される大会議があり,連合の条約類は,この大会議で検討,改正される。最近の大会議は,1974年にスイスのローザンヌで開催され,改正条約は,1976年1月1日から効力を生じている。我が国は,加入が義務的である万国郵便連合憲章,万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約並びに加入が任意である価格表記書状に関する約定及び小包郵便物に関する約定等諸条約の当事国である。
 なお,我が国は,スイスのベルンにある国際事務局に職員2名を出向させている。
(2) 執行理事会(CE)
 執行理事会は,大会議から大会議までの間の連合の事業の継続を確保することを任務とし,連合の年次予算等の審査,承認を行うほか,大会議から付託された案件を研究し,その結果を条約類の改正案等の形で次の大会議に提出する。理事国は大会議ごとに選出され,年1回連合の所在地で会合する。
 1975年の年次会合は,5月1日から14日まで開催され,大会議から付託された研究課題を10の委員会に配分し,それらの研究方針を決定するとともに,1975年及び1976年の連合の予算を審査,承認した。我が国は,財政委員会の議長国として委員会を主宰し,連合の活動上最も重要な予算の編成,審議及び承認に直接関与した。
(3) 郵便研究諮問理事会(CCEP)
 郵便研究諮問理事会は郵便に関する技術上,業務上,経済上及び技術協力上の問題につき研究を行い,意見を表明することを任務とする常設機関であり,理事国は大会議ごとに選出され,また,その活動期間は次期大会議開催の年までの5年間とされている。
 1974年のロ-ザンヌ大会議の決議にもとづく付託等により,同年から本理事会が取り扱うこととなった研究課題は約60件あり,これらはいずれも1979年の次期大会議前に報告書にまとめられることとなっている。
 上記の研究課題のうち我が国は25の課題について作業部会に参加し,そのうちの2件については研究を主宰し,かつ,そのとりまとめ,報告の任にあたる主査国となっているが,1975年10月28日から同11月7日までスイスのベルンで行われた1975年の年次会合で,更にもう1件の主査国を引き受けることとなった。
(4) アジア・オセアニア郵便連合(AOPU)
 アジア・オセアニア郵便連合は,アジア及びオセアニアの地域内における郵便業務の改善及び郵便上の協力関係の緊密化を図るためにUPU憲章に基づいて設立された限定郵便連合であり,現在,域内のUPU加盟国中11か国が加盟している。
 我が国は,1968年に加盟し,以来,特に技術協力の面で積極的に貢献しており,郵便業務の面では,本連合加盟国あて船便の書状及び葉書の料金を一般外国あての料金より40%引き下げている。
 この連合の最高機関は,大会議であるが,第三回大会議は,1975年11月にオーストラリアのメルボルンで開催された。主要な決定事項としては,「アジア・オセアニア郵便訓練学校]を連合の一機関としたこと及び加盟国あて船便通常郵便物に適用する料金は,一般外国あて料金を現在の40%以上から25%以上引き下げたものとすることに改めたことが挙げられる。
 なお,改正条約は,1977年5月1日から施行される。
 

第2部第8章第1節1 概況 に戻る 3 国際電気通信連合(ITU) に進む