昭和52年版 通信白書

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2 インテルサットの設立と発展

(1) インテルサット暫定的制度の設立
 米国は,自己のリーダーシップにより速やかに全世界的な衛星通信を実現するとの構想の下に,1962年8月に「通信衛星法(Communications Satellite Act of 1962)」を制定し,翌1963年2月に「通信衛星会社(コムサット)」を設立した後,西欧,オーストラリア,カナダ及び日本に対して,世界商業通信衛星組織の設立を呼びかけ,1964年5月から政府間交渉が開始された。組織の中で優位性を保持しようとする米国に対して,西欧諸国は一定の歯止めをかけようとして,政府間交渉においては,特に組織構成の点をめぐって意見の対立があったが,衛星通信の分野においては米国が圧倒的な技術力を保持しており,また,増大する国際通信量に対処するには衛星通信技術を早期に導入することが必要であると考えられた結果,とりあえず暫定的制度として組織を設立し,その実績を踏まえて恒久的制度への移行を図るということで妥協が得られ,同年7月に「世界商業通信衛星組織に関する暫定的制度を設立する協定」(暫定協定)及び「特別協定」が仮調印された。両協定は同年8月20日に発効し,ここにインテルサット(INTELSAT-International Telecommunications Satellite Consortium)が発足することとなった。なお,我が国は暫定協定には政府が署名し,また特別協定にはインテルサットに出資し,その事業運営に参画する電気通信事業体として政府から指定された国際電電が署名し,インテルサットの原加盟国となっている。
(2) インテルサットの恒久化
 インテルサット恒久化のための政府間会議は1969年2月から開始され,2年余の交渉の末,1971年5月に開催された第3回全権会議において,「国際電気通信衛星機構(インテルサット)に関する協定」(恒久協定)及び「同運用協定」が採択され,同年8月20日から署名のために開放された。我が国は,恒久協定に同日受諾を条件として署名し,国会の承認を得て,翌年6月27日に協定の寄託国である米国に対し,受諾書を寄託した。一方,運用協定については,暫定的制度下と同じく国際電電を指定し,これに署名させた。
 両協定は1973年2月12日に発効し,恒久的制度としてのインテルサット(INTELSAT-International Telecommunications Satellite Organization)が発足することとなった。
 恒久的制度は,暫定的制度において確立された財務・技術・運営上等の基本原則を引き継ぐこととなったが,一方,組織の法人化,組織構成上の整備等が行われ国際機関としての性格が明確となった。
(3) インテルサットの発展
 インテルサットは1965年4月に第1号衛星(アーリーバード)を大西洋上に打ち上げたのを皮切りに,これまでに<2>号系3個,<3>号系5個,<4>号系7個及び<4>-A号系2個の打上げに成功している(第1-2-1表参照)。現在商用に供せられている衛星は,大西洋上の<4>-A号系衛星2個,太平洋及びインド洋上の<4>号系衛星各1個であり,これら4個の衛星によってグローバル・システムが構成されている。また,電話1万2,000回線及びテレビジョン2回線の容量を有するV号系衛星計画が1976年9月に決定され,1979年以降大西洋地域から順次導入されることとなっている。一方,衛星を使用して通信を行う地球局は,利用各国において建設されるが,1977年3月現在,82か国に132局あり,アンテナの数は166に達している。
 また,インテルサット衛星の利用状況は第1-2-2表のとおり,順調な伸びを示している。
 なお,1977年3月31日現在におけるインテルサット加盟国は95か国である。

第1-2-1表 インテルサット衛星一覧(1977年3月現在)(1)

第1-2-1表 インテルサット衛星一覧(1977年3月現在)(2)

第1-2-2表 インテルサット利用状況(使用ユニット数)
 

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