昭和52年版 通信白書

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第4節 事業経営状況

1 国内公衆電気通信事業

(1) 電電公社関係
 電電公社は51年度末現在で,職員数32万2,100名,総機関数2,417,資産総額7兆133億円を擁する巨大事業体として,51年度中は建設投資額1兆3,618億円,事業収入2兆4,808億円の規模で事業を遂行したのであるが,6月1日を予定していた料金改定実施が5か月余り遅れて11月17日となったため,当初予算では489億円の黒字を見込んでいたのが1,425億円の赤字となった。
 49年度1,753億円,50年度2,812億円に引き続く3年連続の赤字によって,過去3年間の赤字合計は5,990億円となったが,会計上は利益剰余金を取り崩すことによって処理され,かろうじて繰越欠損金を出さずに済んだ。
ア.収支状況
 51年度の電電公社の決算については,総収入2兆5,182億円,総支出は2兆6,607億円となり,1,425億円の赤字決算となった。
(ア) 事業収入
 51年度の事業収入は2兆4,808億円となり対前年度比で19.4%の伸びとなった。料金改定遅延により当初予算に対し,3,153億円の減補正を行ったため,補正後予算対比では0.6%の増収となった。
 内訳について概観すると,まず事業収入の90.2%を占める電話収入は2兆2,373億円で予算に対し85億円,対前年度実績比19.6%の増にとどまり,1加入当りの電話収入は料金改定の寄与等もあって50年度の5万6,399円から6万2,893円へとかなりの伸びを見せた。
 公衆電話料は979億円で対前年度比8.2%増となり,1公衆電話当たり収入は13万9,912円と対前年度比1.3%増となった。
 電信収入は480億円,対前年度比20.8%の増となり,専用収入は1,304億円(うち,データ通信742億円,対前年度比25.8%増)対前年度比19.9%の増となった。雑収入は651億円であった。
(イ) 事業支出
 51年度の事業支出は9.20%(定昇込み)のベース・アップと利子負担等の増大により対前年度比11.3%の伸びとなった。各費目の構成比は,直接事業費48%(うち人件費34%),資本費用46%(うち減価償却費32%),業務委託費5%,諸税公課1%となっている。直接事業費は対前年度比9.4%増加し,1兆2,509億円,資本費用のうち減価償却費は,対前年度比11.8%増加して8,384億円,金融費用(利子及び債券取扱費と債券発行差損償却費)は,対前年度比17.0%増加して3,700億円となった。
 事業収支率については51年度は105.3%となった。
イ.資産及び負債・資本の概況
 電電公社の51年度決算における貸借対照表の概要は第2-2-22表のとおりであり,固定資産額は6兆3,556億円(有形固定資産額は6兆2,761億円),固定負債は5兆1,411億円(うち電信電話債券が4兆8,090億円)また,資本勘定は3億円増加し,1兆5,193億円となった。
 固定資産合計の推移は第2-2-23表のとおりであり,内訳としては電気通信機械施設及び電気通信線路施設が全体の74%,建物及び工作物が13%,その他が13%である。
 負債の推移は第2-2-24表のとおりであり,電信電話債券が総額の88%と圧倒的比重をしめている。なお,公社は資金調達の多様化を図るべく,51年度米国で2回,スイス,西独で各1回,計1,014億円の外債の発行を行った。第2-2-28表は公社がこれまでに発行した外債の概要である。
 総資本に占める固定資産及び負債の構成比の推移は第2-2-25表のとおりであり,負債の構成比がかなり高まっている。
(2) 有線放送電話事業
ア.事業収支状況
 51年12月から52年3月までの間に事業年度が終了した1,088施設の収入総額は231億円で,1施設当たり2,126万円であり,50年度の収入総額250億円に比べ7.6%の減,1施設当たりでは2.6%の増となっている。
 51年度の収入のうち,利用料は収入総額の70.8%を占めており,ほかに,接続手数料4.0%,放送料3.2%,雑収入8.3%,運営費補助金3.3%,繰入金10.4%となっている。
 支出については,総額235億円で,1施設当たり2,162万円であり,50年度の支出総額は256億円に比べ8.2%の減,1施設当たりでは2.2%の増となっている。
 51年度の支出のうち,人件費が53.4%と最も多く以下物件費24.4%,減価償却費14.4%,支払利息5.4%等となっている。
イ.規模別事業収支状況
 有線放送電話は農林漁業地域における通信メディアであるので地域社会の状況を反映して経営規模が小さい。有線放送電話の経営にも,一般的にいって規模の利益が働くと考えられ,規模の大きい施設ほど事業収支状況が良い傾向にある(第2-2-29表参照)。

第2-2-21表 電電公社の事業収支率

第2-2-22表 電電公社の貸借対照表(52年3月31日現在)

第2-2-23表 電電公社の固定資産の推移

第2-2-24表 電電公社の負債の推移

第2-2-25表 電電公社の総資本における固定資産,負債の構成比の推移

第2-2-26表 電電公社の事業収入の推移

第2-2-27表 電電公社の事業支出の推移

第2-2-28表 電電公社の外債発行状況(1)

第2-2-28表 電電公社の外債発行状況(2)
 

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