昭和52年版 通信白書

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2 有線テレビジョン放送

 有線テレビジョン放送は,30年ごろからテレビジョン放送の共同受信施設として急速に普及し今日に至っているが,48年1月から有線テレビジョン放送法が施行されたことにより,施設の規模が引込端子数501以上を有する有線テレビジョン放送施設については,郵政大臣の許可及び業務開始の届出を,また,引込端子数51以上で500以下の施設及び50以下の施設で自主放送を行うものは,業務開始の届出をすることとなっている。
 有線テレビジョン放送の受信者は,許可施設,届出施設及び業務開始の届出を要しない施設(引込端子数50以下でテレビジョン放送の再送信のみを行うもの)の受信者を合わせると51年度末で約170万と推定される。
 51年度末現在の有線テレビジョン放送施設(許可施設,届出施設)の都道府県別施設数は,第2-5-23表のとおりであり,兵庫県,東京都,大阪府,京都府,愛知県等が比較的多くなっているが,これらの地域では主として高層建築物等による受信障害の解消を図るための施設設置の需要が多いことによる結果であるが,兵庫県,京都府等では地形による難視聴の解消に対する需要が多いことによる面もあるものと考えられる。
(1) 届出施設
 51年度末現在の届出に係る有線テレビジョン放送施設は,9,986施設であって前年度に比べ1,352施設(13.5%)の増となっているが,特に,都市の高層化や宅地開発の進んでいる東京,横浜,名古屋,大阪及びその周辺の地域,山陽新幹線が建設された地域等における増加の傾向が著しい。
 届出施設における有線テレビジョン放送の運営主体は,そのほとんどが受信者によって構成された法人格のない社団であり,これらの社団のうち42.1%に当たる4,202施設(NHK調べ)は,NHKと地元住民団体が共同で施設を設置運営しているものである。これらの施設の行っている業務は,テレビジョン放送の難視聴解消を目的とする同時再送信が圧倒的多数を占めている。
 料金については,契約料(加入金)は1万円以上2万円までのものが多く,また,利用料については,月額200円以下のものが多い。
 なお,都市において高層建築物等によって生じた受信障害を解消するため,ビルの建築主等原因者によって設置されたいわゆる補償施設を任意団体が管理運営しているものにあっては,契約料は無料,利用料は無料,又は月額50円ないし200円程度としているものが多い。
(2) 許可施設
 51年度末現在の許可施設の数は,181施設であって前年度末に比べ11施設(6.0%)の増となっている。
 その運営主体,施設の規模等は,次のとおりである。
ア.運営主体及び規模
 運営主体別及び規模別にみた施設数は,第2-5-24表のとおりであるが,運営主体別では任意団体によるものが110施設であって,許可施設総数の60.8%を占め,次いで営利法人,地方公共団体,農協等協同組合の順となっており,施設の規模別では,営利法人によって運営されるものの大規模なものが見受けられ,最大のものは引込端子数2万1,515となっている。
イ.業 務
 業務別にみた施設数は,第2-5-25表のとおりであるが,その大部分はテレビジョン放送の再送信のみを行うものであり,自主放送を行うものはまだ少数である。
 再送信を行うものの目的は,第2-5-26表のとおりで届出施設の場合と同様難視聴解消を目的としているものが多い。
 なお,営利法人等による大規模施設は,主として番組の多様化を目的としているものである。
ウ.料 金
 料金は,運営主体,設置目的,施設の規模の大小によって異なる傾向を示しており,営利事業として番組の多様化のために再送信を行う施設に比較的高額のものがみられるのに対し,任意団体の施設又は都市におけるいわゆる補償施設では,契約料,利用料とも比較的低額のものないし無料のものが一般的である。
 全許可施設のうち料金を徴収するものについてみると契約料は1万円以上2万円までのものが最も多く,次いで2万円以上3万円までのものとなっており,利用料は,100円から300円までのものが最も多く,次いで300円から500円までのものとなっている。
 また,これらの施設のうち,営利を目的とした施設では,契約料は2万円から3万円まで,利用料は300円から500円までのものが最も多くなっている。
 なお,契約料の最も高額なものは5万円であるが,契約料を徴収する施設の約90%は3万円以下となっており,また,利用料についても高額な施設では月額1,000円を徴収するものもあるが,大部分は500円以下となっている。
エ.自主放送
 有線テレビジョン放送施設者のうち自主放送を行うものは,51年度末現在において22施設となっているが,このうち20施設は,自主放送を再送信と併せ行っているものである。また,このほかに有線テレビジョン放送施設者から施設の提供を受けて有線テレビジョン放送業務を行うことができることとなっているが,この制度を利用して自主放送を行っている有線テレビジョン放送事業者は3事業者である。自主放送番組の内容は,地元公共団体や農業協同組合からのお知らせ,地域のニュース等が一般的である。
 なお,自主放送について特別の料金を受信者から徴するものは見受けられず,通常の料金のほか広告料等により賄われている。

第2-5-23表 都道府県別有線テレビジョン放送施設数(51年度末現在)

第2-5-24表 運営主体別・規模別有線テレビジョン放送施設数(51年度末現在)

第2-5-25表 業務別有線テレビジョン放送施設数(51年度末現在)

第2-5-26表 再送信業務の目的別施設数(51年度末現在)
 

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