昭和52年版 通信白書

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3 データ伝送及びデータ端末技術

(1) データ伝送技術
 データ通信システムの構成にあたって,データ端末装置とコンピュータ間あるいはコンピュータ相互間でデータの送受信をいかに能率よく行うかは,重要な要素となっており,データ通信システムの多様化,とりわけ端末の多様化から50b/s〜数十Mb/sという広範囲な速度のデータ伝送が要求されている。
 電電公社では,データ伝送回線の高速化,経済化を図るため,各種のデータ伝送方式の開発が進められている。すなわち,音声帯域における高速化については,専用回線用9,600b/sモデムの開発が進められまた,広帯域を利用する高速度データ伝送方式としては,48Kb/s(60〜108kHz帯域を使用)方式が実用化され,引き続きPCM伝送路を用いた伝送効率がよく経済的なディジタルデータ伝送方式の実用化が進められている。
 国際電電では,音声級回線での高速データ伝送用のQAM(直交振幅変調)方式による自動位相等化器付9,600b/sモデムの研究が行われており,研究段階を終り,実用機の製作が進められている。広帯域回線用変復調装置については,群帯域用96Kb/s誤り訂正装置付モデムが試作され,室内試験が行われている。
 また,変復調動作をディジタル化した超多重搬送電信端局装置(ディジプレックス,音声級回線で50b/s×208回線)については,51年度後半に日米間で実用化され,順調な運転状態にある。
(2) データ端末技術
 データ端末は,従来システムへの単なる入出力手段としてとらえられていたが,最近では,入出力に関する簡易な処理を行うものから,ファイル装置を有するものまで開発されている。このように,用途の多様化及び機能の複雑高度化の傾向をたどりつつ,反面,低廉簡素な機器の開発も進められている。
 端末制御技術としては,LSIの大幅な採用及びマイクロコンピュータやミニコンピュータによるプログラム制御方式の導入,また,入出力技術としては,電子制御形プリンタ,光学文字読取装置,磁気記録読取装置,漢字入出力装置等の開発が積極的に進められている。
 端末の制御回路技術については,IC化の過程を経てLSI化へと進み,特にマイクロプロセッサと高集積なROM(Read Only Memory)を組み合わせたプログラム制御方式が,従来の布線論理方式に代って採用され,小形軽量,低価格化に大きく寄与している。また,メモリに書き替え可能なRAM(Randam Access Memory)を採用することにより端末の制御内容が書き替え可能となり,汎用的な制御装置が開発されている。更に,このメモリの容量を増加させ,端末である程度の業務処理を行うことのできる,いわゆるインテリジェント端末の開発が進められている。
 メモリとしては,ICメモリのほか磁気バブルや光メモリが今後大幅に採用されるものと予想される。なお,インテリジェント端末によりシステム機能が分散できることになるが,システム全体からみてアーキテクチャの検討が今後急速に標準化を指向して行われることになろう。
 電子制御形プリンタは,高速・低騒音・高信頼性・低価格を特長として着実な伸びを示しており,主としてモータ制御方式,ワイヤ印字方式,感熱印字方式及びインクジェット方式を採用したプリンタが従来の機械式プリンタに代って進出しつつある。特に,小形高性能のパルスモータやサーボモータの実現によるモータ制御方式は,60字/秒程度まで逐次印字が可能となっており,今後の低速プリンタの主流となろう。
 入力を容易にするため,文字を直接入力する光学文字読取装置(OCR)として既に手書き及び活字の英文字,数字,カナ文字を読取る装置が開発されているが一層の認識率の向上が進められ,更には漢字を読取る装置の開発が進められている。
 磁気記録媒体としてカセット磁気テープ,フレキシブルディスク及び磁気カードがそれぞれデータエントリ端末,銀行窓口端末,カード預金用端末等で実用化されている。また,大形ディスプレイ装置としては,CRTが一般的に用いられているが,POS端末,データコレクタ,銀行用窓口装置等における簡易な表示パネルとしてプラズマディスプレイ,液晶ディスプレイ等も用いられている。
 漢字入出力装置として,けん盤入力装置,漢字コード入力装置,漢字ディスプレイ,漢字プリンタ等の開発が進められている。
 

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