昭和52年版 通信白書

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2 行政用ファクシミリ通信システム

(1) 開発の経緯
 郵政省は,46年度以来行政管理庁と共同して,各省庁の協力を得て,行政情報通信ネットワーク(AICON)の基礎的な調査研究を進めてきた。48年度からはAICON関連技術開発として,行政機関における文書情報の流通特性に適合した効率的なファクシミリ通信システムの開発を行うこととし,これを郵政省が担当することとなった。
 48年度及び49年度の2年度では,行政機関における文書流通特性に適合した機能(自動送受信,高速化,蓄積同報通信等の各機能)を持った行政用標準ファクシミリ装置仕様書及び行政用標準ファクシミリ同報装置仕様書を作成し,全省庁に配布した。50年度以降は,効率的,経済的なファクシミリ通信システムを構成するため行政用標準ファクシミリ装置と市販の低速ファクシミリ装置との相互接続を目的とする異種ファクシミリ接続装置の開発を行っている。
(2) 開発の内容
ア.行政用標準ファクシミリ仕様の見直し
 49年度末に作成した行政用標準ファクシミリ装置の仕様を一部改正した。これは,国際電信電話諮問委員会(CCITT)における同機種ファクシミリの通信方式の標準化に関する審議が,ある程度進展したことに伴いその成果をとり入れ,より高度の標準化と適用範囲の拡大を図ったためである。
 主たる改正点は次のとおりである。
 [1] 従来,変復調器(モデム)として,CCITT規格の2,400b/sを規定していたが,4,800b/sのものが新たに追加されるのに伴い,これをとり入れ,電送の高速化を図った。
 [2] 副走査線密度として3.85本/mm,オプションとして7.7本/mmがCCITT勧告案としてほぼ確定したことに伴いこれを取り入れ,従前の5本/mmと合わせて種類の走査線密度に切替使用可能とした。
 [3] 冗長圧縮回路のユニット化を仕様で規定し,国際標準が決定した時にこれに対処できるようにした。
イ.異種ファクシミリ接続装置の開発
 異種ファクシミリ接続装置は高速の行政用標準ファクシミリ装置と市販の低速ファクシミリ装置を相互に接続する方式変換装置ともいうべきもので経済的,効率的なファクシミリ通信システムを構成するために必要とされるものである。
 50年度は,異種ファクシミリ接続装置の方式設計を行い,方式変換の機能を確認するための装置を製作した。
 51年度は,コンピュータによるシミュレーション試験を行うとともに装置を用いて実際に異機種間ファクシミリの通信を行い,最適な方式変換技術を確立した。
 その結果,方式変換に伴う了解度の劣化は,明朝体漢字4号活字の原稿を低速ファクシミリ装置から高速ファクシミリ装置に電送した場合1%程度,高速ファクシミリ装置から低速ファクシミリ装置に電送した場合1%ないし数%であり,予期の成果が得られた。
 また,シュミレーション試験における最適な方式変換法は,第2-7-10表のとおりであった。

第2-7-10表 異種ファクシミリ間の方式変換方法
 

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