昭和53年版 通信白書

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2 情報流通メディアの動向

 総供給情報量及び総消費情報量の35〜50年度の推移は第1-1-15図にみられるとおりである。これによると35〜40年度にかけてと,45〜50年度にかけては特に供給情報量の伸びが急激である。これは総供給情報量の大きな部分を占めるテレビジョン放送の情報量の増加によるものであり,35〜40度の5年間には全日制放送が開始されるとともに,テレビ受像機が爆発的な勢いで日本全国に普及した時期に当たる。また,45〜50年度の5年間にはカラ-放送が全番組にわたって実施されたことから,カラー受像機の普及が進み,再び供給情報量を大きく増加させることとなった。一方,総消費情報量は総供給情報量とは対照的に極めて安定的な伸びをこの15年間続けてきた。これは情報の消費という活動が,人間の生活時間や,人口の動態といった比較的変化の小さい要因によって規定されることによるものであろう。
 したがって第1-1-16図にみられるとおり,情報の消費率は全メディア(パーソナル・メディアをも含む。)平均で35年度には40.8%であったものが,50年度においては9.9%と10%を切る程に低下することとなった。「情報の洪水」であるとか,「情報公害」といった一種の情報の過剰状況を作り上げたものは,この供給量と消費量とのかい離であったと言えよう。
 情報流通量をメディアの特性別にみたのが第1-1-17表である。35年度を基準とした場合,電気通信系メディアの供給情報量は40年度で約5倍,50年度が約9倍となっており,消費情報量でも40年度で約2倍,50年度で約4倍と同様に最も大きな伸びを示している。情報消費率は40年度以降は6〜7%台の水準に落ちたまま,余り変化を示していない。個々のメディアについてみると,第1-1-18図のとおり,35年度の総供給情報量中に占める各メディアの比率はラジオ放送44.3%,テレビジョン放送41.7%の順であったが,40年度にはテレビジョン放送84.5%,ラジオ放送11.7%と大きく逆転しており,この間にラジオ時代からテレビ時代への移行が完了したことが分かる。放送系以外のメディアの動向についてみると,自営データ通信の伸びが著しく,対40年度比では50年度は約254倍となり,同じく対35年度比で50年度が10.3培と大きな伸びをみせているファクシミリと並んで今後の情報流通の中心となることが予想される。一方,公社電報は減少傾向を示しており,50年度は35年度に比して約半分となった。
 輸送系メディアは対35年度比で,50年度は供給において約3倍,消費においては約1.5倍となっており消費率は45年度以降9%台に定着している。
 空間系メディアについては人口増,進学率の上昇等の要因から消費情報量の伸びが比較的大きい。個々のメディアについてみると,映画の減少ぶりが顕著である。

第1-1-15図 総情報流通量の推移

第1-1-16図 情報消費率の比較(全メディア)

第1-1-17表 メディアの特性からみた情報流通量

第1-1-18図 総供給情報量に占める各メディアの割合の推移

 

 

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